コンクリートは現代建築の基礎を支える主要な素材の一つです。コンクリートの耐久性や強度は高いですが、長期間の使用や外部要因によって徐々に劣化が進行していきます。劣化の進行を抑制するには、定期的なメンテナンスによる診断や補修などが必要不可欠です。今回はコンクリートに劣化症状や、その防止策、修繕方法について解説します。
コンクリートの劣化メカニズム
コンクリートの劣化はさまざまな要因によって引き起こされます。例えば、気候条件、化学物質、荷重、そして時間の経過による老化などが挙げられます。これらの要因がコンクリートの表面や内部に影響を与え、劣化を引き起こします。
コンクリート劣化の主な原因
コンクリート劣化の原因は多岐にわたりますが、主に以下の要因に分類されます。
化学的要因
塩化物イオンがコンクリート内部に侵入し、鉄筋を腐食させる
大気中の二酸化炭素がコンクリートに侵入し、アルカリ性を低下させ、鉄筋の腐食を促進する
物理的要因
水分が凍結・融解を繰り返すことで、内部に圧力が生じ、ひび割れや崩壊を引き起こす
交通などの通常使用や風雨による表面の摩耗
過剰な荷重や繰り返しの荷重により、内部の構造が疲労する
温度変化による体積の変化により、損傷が発生する
生物的要因
根の成長によりひび割れが拡大。
特定の微生物がコンクリート中の成分を分解
コンクリート劣化の種類
劣化原因から引き起こされる、コンクリートの劣化現象は多様であり、主なものは以下の通りです
構造的な欠陥や外的要因によって圧力がかかり、発生する
鉄筋の腐食などによる内部圧力や外部からの衝撃により、コンクリート表面が剥がれ落ちる現象
コンクリート表面での化学物質との反応や植物などの浸食により発生する
ひび割れ
剥離
表面の変色
劣化の影響
コンクリート劣化が進行すると、以下のような影響が現れます。
鉄筋の腐食やひび割れにより、構造体としての強度が減少
コンクリート表面の変色や破損により外観が劣化
劣化が進むほど修繕規模が拡大し、コストが肥大化する
コンクリートのメンテナンス方法
コンクリート構造物の劣化はさまざまな形で現れます。コンクリートの劣化を放置しておくと、構造上の致命的な問題を引き起こす場合があります。それぞれに対応したメンテナンス方法を適用することで劣化を遅らせ、構造物の寿命を延ばすことができます。以下に、代表的な劣化の種類ごとに適切なメンテナンス方法を解説します。
ひび割れへの対応
ひび割れは、構造的な欠陥や外的要因によって生じる代表的な劣化現象です。以下のメンテナンス方法が有効です。
シーリング材の充填やエポキシ樹脂の注入はひび割れへの水の侵入を防ぎ、ひび割れの拡大・重症化を防止します。
剥離への対応
剥離は、コンクリート表面が剥がれ落ちる現象で、特に外観と耐久性に影響を与えます
剥離した部分を除去し、補修モルタルで再構築します
表面をコーティングし、雨風などの劣化要因からコンクリートを保護します。
大規模な剥離の場合、コンクリートを再度打設することが必要です
表面の変色への対応
化学反応や環境汚染による表面の変色は、美観の損失を引き起こします。
定期的に表面をクリーニングし、汚れや変色物を除去します
変色を防ぐために、コンクリート表面に保護材を塗布します
防汚性のあるコーティング材を使用し、汚染物質の付着を防ぎます
下記HPよりご確認ください。
劣化をさせないために
劣化の種類に関わらず、コンクリート構造物の寿命を延ばすために以下のような全般的なメンテナンスが有効です。
定期的に構造物を点検し、早期に劣化を発見します
劣化が見つかった場合は迅速に補修を行い、劣化の進行を防ぎます
コーティング材や防水材等でコンクリートが劣化要因にさらされないようにすることで、劣化を予防します
まとめ
コンクリートの劣化は避けられないものですが、それに対応する適切なメンテナンス方法を適用することで、構造物の安全性と耐久性を確保することができます。劣化の種類ごとに効果的なメンテナンスを行い、長期的な視点でコンクリート構造物の健康を維持していくことが重要です。