樹脂モルタルとはなに?普通モルタルやコンクリートとの違いとは?

[著]
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

大規模修繕工事などコンクリート補修をするときによく使われるものといえば「樹脂モルタル」です。しかし、「樹脂モルタル」とはどのようなものなのか、また普通モルタルやコンクリートとどのような違いがあるのかよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、コンクリート補修材「樹脂モルタル」について、その特徴と普通モルタルやコンクリートとの違いなどを徹底解説します。

樹脂モルタルとは

樹脂モルタルとは、いくつかあるモルタルの種類のひとつです。では、そもそもモルタルとはなんなのでしょうか?またモルタルとよく混同して扱われるものにコンクリートがあります。

まずはモルタルとコンクリートはどう違うのか、そしてさらにモルタルとはどのような種類があるのかなど深掘りしてみたいと思います。

モルタルとコンクリートの違いについて

まずはモルタルとコンクリートの違いについて簡単に解説します。

モルタル

モルタルとは、セメントに砂と水を混ぜ合わせたものです。外壁の仕上げやブロックの接着、そしてコンクリートの補修などの用途に使われます。
ちなみにセメントに水だけ加えたものはセメントペーストといいます。

コンクリート

コンクリートとは、セメントに砂と砂利、水を混ぜたもので、つまりモルタルに砂利を加えたものがコンクリートです。優れた耐久性が期待できることから、ビルやマンションの構造部や住宅基礎などの用途に使われます。

モルタルの種類について

モルタルと呼ばれる建材には、いくつかの種類があります。

代表的な種類とは以下の通りです。

・セメントモルタル
・ポリマーセメントモルタル
・樹脂モルタル

セメントモルタル

セメントモルタルとは、先述した通りセメントに砂と水を混ぜ合わせた、いわゆる一般的なモルタルのことを指します。
モルタルの種類のなかで最も普及しているものですが、経年とともにひび割れが起こりやすい特徴があります。

ポリマーセメントモルタル

ポリマーセメントモルタルとは、セメントモルタルにポリマー(セメント混和用ポリマー)を配合したものです。

セメントに対して5~20%程度のポリマーが配合されており、接着力や曲げ強度を高めモルタルの弱点でもあるひび割れを抑えることを可能にしています。
またその他にも中性化の抑制や防錆などの効果も期待できる高機能なモルタルです。

樹脂モルタル

樹脂モルタルとは、結合材としての役割を担っているセメントの代わりに主に樹脂(レジン)を用いたものになります。

俗称であって業界分野各々若干意味が異なりますが、セメントモルタルと合成樹脂を組み合わせ、強化した複合モルタルを樹脂モルタルと言われます。

防水、止水に強いエポキシ樹脂を組合せたタイプ、合成樹脂エマルション(アクリル、エチレン塩ビ、SBR等)入りの左官系セメントモルタルがあります。

樹脂モルタルは、接着力や曲げ強度に優れ、中性化の抑制や防錆などの効果も期待できます。

また樹脂という特性から、乾燥が早く軽量であること、そして弾力性を発揮してひび割れを防ぐことなど、補修材としての適性に優れています。

これらの特徴から、コンクリート補修に樹脂モルタルが広く使われています。

とくに大きな欠損が生じている場所への補修などは、高耐久で揺れにも強い樹脂モルタルが適しているでしょう。

樹脂モルタルの種類をさらに詳しく

モルタルと呼ばれる建材のひとつである樹脂モルタルは、さらにいくつかの種類に分けられます。
樹脂モルタルの種類とは以下の通り大きく2つです。

・エポキシ樹脂系モルタル
・合成樹脂エマルション系モルタル

エポキシ樹脂系モルタル

エポキシ樹脂系モルタルとは、エポキシ樹脂を配合したモルタルです。

材料が軽量であることから垂直面や天井面への厚塗り施工ができることが特徴で、おもに防水や止水、断面修復などの用途で使われます。

また既存のコンクリートにセメントモルタルを塗った場合、水分がコンクリートに吸収され正常な凝結硬化ができず強度が不足する「ドライアウト」が起こることがあります。

しかしエポキシ樹脂系モルタルを使えば、「ドライアウト」を起こさずに補修することも可能です。

合成樹脂エマルション系モルタル

合成樹脂エマルション系モルタルとは、アクリルやSBR、エチレン塩ビなどの合成樹脂を配合したモルタルです。
またさらに電気的な接着性を発揮するカチオン特性を付加した「カチオン系モルタル」などもあります。
合成樹脂を配合した樹脂モルタルのおもな特徴は以下の通りです。

アクリル樹脂モルタル

コテ塗りや吹付け性でとくに優れた適性があり、高い粘着力を発揮します。

SBR樹脂モルタル

耐候性やコテ塗り性の適性という点ではアクリルよりやや劣りますが、付着力が高く、とくに中性化の抑制には絶大な効果が期待できます。

エチレン塩ビ樹脂モルタル

価格が安く、とくにコテ塗り性で優れた適性がありますが、耐水性という点では他の種類よりもやや劣ります。

まとめ

樹脂モルタルは、大規模修繕の外壁タイルや屋上防水の下地補修、そしてその他コンクリートの爆裂や欠損補修などで幅広く使われています。

また樹脂モルタルにはいくつかの種類があり、補修箇所の状況や用途などから適したものを選ぶとより高い効果が得られます。

コンクリートの補修工事は、建物を長期的に守るうえで重要な要素です。適性から判断し、シーンに合った材料をぜひ探してみてください。



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントを残す

*