下地調整塗材「カチオンタイト」が選ばれる理由。特徴や施工方法を紹介

[著]
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マンションやビルなどコンクリート造の建物は、長寿命化を図るうえで外壁や屋上防水などの修繕を計画的に実施していくことが重要です。

そしてこれら修繕工事で欠かせない工程になるのが下地補修になります。

下地補修で使用される材料にもさまざまな種類がありますが、十分な品質を得るためにも優れた性能を有する材料を選びたいものです。

そこで今回は、接着力で選ぶなら下地調整塗材「カチオンタイト」。その特徴や施工方法を紹介します。

カチオンタイトシリーズ

まずはカチオンタイトシリーズの製品についてご紹介します。

カチオンタイトシリーズの製品一覧は以下の通りです。

  • ☑ カチオンタイトF
  • ☑ カチオンタイトFS
  • ☑ カチオンタイトT
  • ☑ カチオンタイトTS
  • ☑ 速硬カチオンコテ
  • ☑ 速硬カチオンローラー
  • ☑ 速硬カチオン厚塗り
  • ☑ マルチカチオンC
  • ☑ カチオンフィラー
  • ☑ タイトワンコテ
  • ☑ タイトワンローラー
  • ☑ YS厚付モルタル

これらは商品によって、塗布手段や特徴などが異なるため、詳しい内容は弊社ホームページやカタログでご確認ください。

カチオンタイトの特徴とは

カチオンタイトとは、樹脂モルタルにカチオン特性を付加させた下地調整塗材です。

カチオンタイトの特徴は、通常のモルタルよりも接着力が高くひび割れしにくいこと、そして幅広い下地に適用できることなど、多くの優れた機能を有している点が挙げられます。

そして、カチオンタイトの特徴のひとつである優れた接着力の秘密は、カチオン特性にあります。

カチオン特性によって、下地調整塗材としてより優れたパフォーマンスを発揮できるのです。

カチオン特性とは

まずはカチオン特性について簡単に解説いたします。

カチオンとは、プラスの電気を帯びた陽イオンのことをいい、逆にマイナスの電気を帯びた陰イオンはアニオンといいます。

カチオン特性とは、このカチオンとアニオンが磁石のように強力に引き付け合う電気的な接着性です。

おもに下地補修の対象面となるコンクリートなどは、マイナスの電気を帯びたアニオンの状態にあります。

そこにプラスの電気を帯びたカチオンタイトを使って補修すると、電気的な働きにより脅威の接着力を発揮するというわけです。

カチオンについての詳しい説明はこちらから

カチオン系ポリマーセメントモルタルとは。下地補修に最適な理由を徹底解説

カチオンタイト製品の特徴について

カチオンタイトには、セメント系カチオン性SBR樹脂モルタル(カチオンタイトF/T)とセメント系カチオン性アクリル樹脂モルタル(カチオンタイトF/T)があります。

これらの違いは、まず樹脂の種類です。

そもそもモルタルとはセメントに水と砂を混ぜたものですが、樹脂モルタルはセメントの代わりに樹脂(レジン)を用いたものになります。

また樹脂(レジン)にもさまざまな種類があります。

それらのなかでSBR樹脂を使ったものが「カチオンタイトF/T」、そしてアクリル樹脂を使ったものが「カチオンタイトFS/TS」です。

なお弊社が使用しているSBR樹脂は、アクリル樹脂と比較して高品質であることも特徴となっています。

カチオンタイトF/T

弊社の主力製品のひとつであるカチオンタイトF/Tについて、少し深掘りしてみたいと思います。

施工方法

・カチオンタイトF:コテ塗り
・カチオンタイトT:ローラー塗り

用途

カチオンタイトF/Tの適用範囲はおもに以下の通りです。

・吹付タイルのトップコート仕上げ面への仲介下地調整
・エポキシ、ウレタン樹脂等塗装面への仲介下地調整
・陶磁器タイル、大理石、テラゾー、ベニヤ合板、ウレタンフォーム等への仲介下地調整
・コンクリート、モルタル等の欠損補修および中性化抑制

施工手順

カチオンタイトF/Tの施工手順について、ポイントを絞って解説いたします。

下地処理

下地表面のほこりなど不純物はケレンおよび水洗いで除去します。

補修の際は、下地が躯体に対して十分な接着力があるか確認し、十分でない部分はケレンすることが重要です。

混練方法

硬化液の約80%を練り混ぜ容器に入れ、撹拌しながら主材パウダーを加えてペースト状になるまで充分に混練します。

その後さらに若干の硬化液を加えて作業に適した粘度に調整します。

なお混練時には、水を混入しないことが重要です。

施工動画でまとめました

主材塗り

カチオンタイトFはコテ塗りで1㎜以上5㎜以内に、カチオンタイトTはローラー塗りで1mm前後に仕上げます。

施工動画

カチオンタイトF

カチオンタイトT

混練後、時間の経過と共に多少しまってきた場合は、残りの硬化液で粘度調整をします。

混練後に使用可能な時間の目安は夏期で1時間、冬期で2時間です。

一度に混ぜ合わせる量は、可使時間以内に使いきれる量とすることがポイントです。

施工時の注意点

・可使時間を過ぎた材料を練り戻して施工するのは硬化不良の原因となるため絶対に避けること

・塗装時あるいは塗装後に、0℃以下となる恐れのある場合や雨が降る恐れのある場合は施工を見合わせること

・脆弱なモルタル・リシン・塗料など下地負けしやすい部分は、ケレンかあるいは浸透プライマー、水性浸透プライマーWを塗布して施工すること

・ポリエステル、アルミニウム、ステンレス、軟質塩ビ、油面などへは接着しないため施工は避けること

・撥水剤塗布してある下地(コンクリート、モルタル、磁器タイルなど)の場合、充分な接着力があるか確認後に施工すること

カチオンタイトシリーズの施工事例

こちらでは、カチオンタイト製品を使ったいくつかの施工事例についてご紹介したいと思います。

爆裂

爆裂部分にカチオンタイト製品を充填して補修する方法です。

まず脆弱部分をケレンで除去し、鉄筋の腐食部分を露出させたら錆び落としと防錆び処理を施します。

小さい爆裂の場合は、「浸透プライマー」を塗布して「カチオンタイトF」で仕上げます。

大きい爆裂の場合は、「浸透プライマー」を塗布して「カチオンタイトF」を5mm以内で薄塗りし、「YS厚付けモルタル」で仕上げます。

欠損

欠損部分にカチオンタイト製品を充填して補修する方法です。

まず脆弱部分をケレンで除去します。

小さい欠損の場合は、「浸透プライマー」か「ガッチリ浸透プライマーW/寒冷地」を塗布して「カチオンタイトF」か「タイトワンコテ」で仕上げます。

大きい欠損の場合は、「ガッチリ浸透プライマーW/寒冷地」を塗布して「YS厚付けモルタル」で仕上げます。

仲介接着(床面)

コンクリート面などセメント系下地に、各種床仕上げ材を施工する場合の仲介接着としてカチオンタイト製品を使う方法です。

まず既存の下地面をしっかりと洗浄し、不純物を除去します。

下地面に「浸透プライマー」か「ガッチリ浸透プライマーW/寒冷地」を塗布し、「カチオンタイトF/FS」か「速硬カチオンコテ」「タイトワンコテ」などで仲介して各種床仕上げ材を施工します。

またその他にも、エポキシ系樹脂床やクリンカータイル、Pタイルなどの床下地に、各種床仕上げ材を施工する場合の仲介接着とすることも可能です。

仲介接着(防水)

セメント系防水保護層に各種防水材を施工する場合の仲介接着としてカチオンタイト製品を使う方法です。

まず防水層を保護するためのモルタルやシンダーコンクリートなどをしっかり洗浄します。

そこに「浸透プライマー」か「ガッチリ浸透プライマーW/寒冷地」を塗布し、「カチオンタイトF/FS/T/TS」か「速硬カチオンコテ/ローラー」「タイトワンコテ/ローラー」などで仲介して各種防水材を施工します。

また既存の防水材を撤去したうえに、「カチオンタイトF/FS/T/TS」か「速硬カチオンコテ/ローラー」「タイトワンコテ/ローラー」などで下地調整して各種防水材を施工するという方法も可能です。

仲介接着(壁面)

陶磁器タイル面に、陶磁器タイルやその他各種仕上げ材を施工する場合の仲介接着としてカチオンタイト製品を使う方法です。

まずは既存の陶磁器タイルの躯体に対する十分な付着強さを確認することが重要になります。

十分な付着強さが確認できたら、既存の陶磁器タイル面をしっかりと洗浄します。

そこに「カチオンタイトF」か「タイトワンコテ」を2回塗りしますが、1回目をゴムゴテで、2回目を金ゴテで厚さ1~2mm程度に塗ることがポイントです。

その後タイル用接着剤でタイルを貼ったり、あるいはその他各種仕上げ材を施工したりします。

また、壁のひび割れ補修としてカチオンタイト製品を使用することも効果を発揮します。

これは、ひび割れ部分をU字にカットし、シーリング材を充填して「カチオンタイトF」か「タイトワンコテ」を薄塗りするという方法です。

まとめ

カチオンタイトは、さまざまな下地に対し優れた接着性を発揮するセメント系カチオン性樹脂モルタル下地調整塗材です。

コンクリート造の建物は、劣化を避けることはできませんが計画的に修繕していくことで資産価値を守り、そして健全に維持管理することも可能になります。

とくにコンクリートの劣化を抑え鉄筋の腐食から守ることが重要なポイントになる意味でも、高性能なカチオンタイトはおすすめです。

建物を守り長寿命化を図るためにも、カチオンタイト製品をぜひお試しください。

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