意外と知らない?シーリングとコーキングの違いについて

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「ここ、シーリングしといて」「あそこは、コーキングで」と、指示されて悩んだことはありませんか?

シーリングとコーキング、同じ部分を施工するのに人によって呼び方が違うことがありますよね。

しかし、シーリングとコーキングは同じ作業を指しています。

なぜ、同じ作業なのに人によって呼び方が違うのでしょうか?

今回はシーリングとコーキングの呼び方が違う理由や、シーリングやコーキングでできることを解説します。

シーリングとコーキングは同じ作業!

冒頭にも書いた通り、シーリングとコーキングは「同じ作業」です。

人によって呼び方が違う理由には、製品名が関係しています。

以前は「油性コーキング」という製品があり、油性コーキングを使うときには「コーキング」、それ意外の製品を使うときには「シーリング」と呼んで区別されていました。

しかし、油性コーキングは劣化するとカチカチに固まり、機械を使って削ぎ落とさなければならない厄介な製品だったため、2004年に廃止。

現在は使用されていません。

使う製品が違っているだけで作業自体は同じだったため、今でも「コーキング」の名残があるようです。

このように、シーリングとコーキングは製品の種類で区別されることもありましたが、業界や製品名によっても呼び方が異なります。

次は、呼び方が違う理由について説明します。

※なお、ここからはシーリングとコーキングの呼び方を「シーリング」に統一して説明します。

シーリングとコーキングの呼び方が違う理由について

シーリングとコーキングは製品の種類で区別されていましたが、ほかにもいくつか理由があります。

ここでは、シーリングとコーキングの呼び方が違う理由を説明します。

呼び方が統一されていないから

シーリング作業は正確な呼び方が統一されていません。

そのため、人によって呼び方が異なります。

極端な例を出すと、同じ会社内であってもシーリングと呼ぶ人もいれば、コーキングと呼ぶ人もいます。

少しややこしいですが、呼び方は違えど作業は同じです。

どちらが間違っているわけでもありません。「シーリング=コーキング」と覚えておきましょう。

業界によっても呼び方が異なるから

シーリングといば建築業界を思い浮かべますが、シーリングを行うのは建築業界だけではありません。

そのため、業界によっても呼び方が異なります。

たとえば、同じ作業をしていても造船の作業場では「コーキング」、蒸気機関の作業場では「シーリング」といった具合です。

どちらも同じ作業をしているのですが、作業場によって呼び方が違うため、その名残でシーリングとコーキングが混在してしまったのでしょう。

英語の違いで考えると

seal(シール)=封をするもの。密閉するもの。という意味の名詞

caulk(コーク)=すき間を埋める。水漏れを防ぐという意味の動詞です。

よってsealing(シーリング)とは封をすること、caulking(コーキング)とはすき間を埋めることを言います。

英語から考えても広い意味ではどちらも同じでよいですよね。

ちなみにsealant(シーラント)というのもsealing(シーリング)と同意語です。

塗装でよく使うシーラー(sealer)というのも封をするための下塗り材という意味です。

商品名にも統一性がないから

シーリングとコーキングが混同する理由には、商品名も関係しています。

同じ作業で使う商品でも「◯◯シーラント」という名前の商品もあれば、「◯◯コーク」という商品もあります。

どちらもシーリングで使うものですが、メーカーがシーリングとコーキングの名前を両方使っているため、使用する側の呼び方も統一されないのです。

シーリングでできること

シーリング剤には大きく分けて以下の4種類のものがあります。

・ウレタン
・シリコン
・ポリサルファイド
・変性シリコン

 

ウレタンはシーリングの上から必ず塗装をしなければならないので、主に「外壁」部分に使用されます。

反対に、シリコンは油分を含んでいるため外壁部分には向いておらず、主に「防水目的」で浴室などに使用されます。

変性シリコンは、ウレタンとシリコンのいいところを持っている中間剤です。

外壁にも使用できますが、塗装は必要ありません。

そのため、外壁部分で塗装をしない部分にも使用されます。

このようにシーリングの種類が多いのも、用途によって材質を使い分けているためです。

用途に応じて材質を使い分けるようにしましょう。

ここからは、シーリングでできることを見ていきましょう。

隙間を埋めて防水生を高めること

シーリングは建物にできている「隙間」を埋めて、防水性を高めることができます。

建物を造るとき、外壁部分や建材と設備の継ぎ目にはどうしても隙間ができてしまいます。

シーリング剤を使って隙間を埋めて、建物内に雨水が侵入したり設備の隙間に水分が入り込むのを防いでいるのです。

衝撃を抑えるクッションの役割

シーリングはクッションの役割もあります。

建物を建てる際には、「外壁と窓サッシ」「浴槽と壁」などの建材同士がぶつかる部分が必ず出てきます。

建材同士がぶつかる部分にシーリング剤を塗って衝撃を防ぎ、建物の耐久性を高めているのです。

そのため地震が起きた際、シーリングがあることで壁面のひび割れを防ぐ役割にもなっています。

水漏れや雨漏りの応急処置

瓦や建具のヒビ割れなどで水漏れや雨漏りをしたとき、シーリングで応急処置をすることができます。

ただし、シーリングでの応急処置は「一時的」なもので修理ではないので、雨漏りや水漏れの原因を解決しなければ、またすぐに症状が出てしまいます。

まとめ

シーリングとコーキングの呼び方が人によって違う理由は、製品名や業界の名残が関係しているためでした。

「外壁部分にはウレタン、室内や防水目的のときにはシリコン、どちらにも使えるのは変性シリコン」など

目的によって使うシーリング剤は異なりますが、行う作業は同じです。

施工指示の際には「シーリング=コーキング」だと頭に入れておけば混乱することもなくなるでしょう。

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