補修や下地調整で使う薄塗りモルタルとは?用途や注意点は?

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大規模改修などメンテナンスに関わる工事では、下地処理が非常に重要です。

というのも、仕上がりの品質にも影響するためで、見えなくなるからといってけしておろそかにしてはなりません。

また、下地処理においてカギとなるのは、使用する材料と施工が適正であることです。

材料を適切に選び、そして正しく施工することで、機能を維持しながら美しい仕上がりを実現できます。

そこで今回は、補修や下地調整の工事において、とくによく使われる「薄塗りモルタル」とはどのような材料なのか、また用途や注意点などを解説したいと思います。

補修や下地調整で使う薄塗りモルタルとは?

薄塗りモルタルとは、その名の通り補修や下地調整で薄く塗るときに使用するモルタルのことで、おもに仕上げ工事の前工程で使われることが多くなります。

下地処理は、工事の安定した品質確保にために欠かせない工程であり、またこの工程を疎かにすると十分な仕上がりは期待できません。

また、この下地処理に使用する材料を「下地調整塗材」といい、薄塗りモルタルもそのうちのひとつとなります。

代表的な「下地調整塗材」は、下記の通り大きく3つに分類できます。

・しごき材
・薄塗り材
・厚塗り材

しごき材

しごき材とは、左官工事において下地調整の塗り厚がおよそ0.5~1.0mm程度のときに使用するセメント系下地調整塗材のことをいいます。

主にコンクリート表面を薄く仕上げ塗りしたいときに用いる呼名になります。

一般的にしごき材は、JIS規格「A 6916」の「下地調整塗材C-1」と呼ばれる材料に相当します。

薄塗り材

薄塗り材とは、左官工事において下地調整の塗り厚がおよそ1.0~3.0mm程度のときに使用するセメント系下地調整塗材のことをいいます。

仕上げに限らずタイルやモルタルを張る下地仲介接着塗りも含まれます。

しごき塗りよりやや厚めに塗るイメージです。

一般的に薄塗り材は、JIS規格「A 6916」の「下地調整塗材C-2」と呼ばれる材料に相当します。

 

 

厚塗り材

厚塗り材とは、左官工事において下地調整の塗り厚がおよそ3.0~10.0mm程度のときに使用するセメント系下地調整塗材のことをいいます。

一回で塗る厚みが厚い場合に用いられる呼名です。

勾配調整や深めの欠損部分に塗る時使用します。

一般的に厚塗り材は、JIS規格「A 6916」の「下地調整塗材CM-2」と呼ばれる材料に相当します。

 

補修や下地調整で使う薄塗りモルタルの用途や注意点

薄塗りモルタルは、さまざまな用途で使用されます。

例えば、コンクリートの爆裂や欠損の補修、各種塗材への仲介下地調整などですが、シーンによって材料を使い分けて施工することがポイントになります。

おもに薄塗りモルタルは、塗り厚が1.0~3.0mm程度の場合に適しているため、下地調整をする時点で塗り厚が異なるようなら違う材料を検討しなくてはなりません。

とくに爆裂や欠損の補修において比較的規模が大きい場合は、薄塗りモルタルではなく厚塗りモルタルを使う必要があります。

それでは、薄塗りモルタルの用途や注意点について、「カチオンタイトF」を例にご紹介いたします。

カチオンタイトFの概要

カチオンタイトFは、コテ塗用に配合されたセメント系カチオン性SBR樹脂モルタルの下地調整塗材です。

壁や床におけるさまざまな下地に適応し、曲げ強度や耐摩耗性、防水性などにも優れています。

また、下地調整塗材として十分な効果を発揮するには適正な調合もポイントとなりますが、セット化されているため安定した特性を得られることも大きな特徴です。

カチオンタイトFのおもな用途

カチオンタイトFはさまざまな用途で使用できます。

おもな用途について簡単にご紹介します。

規模の小さな補修

カチオンタイトFは、コンクリートやモルタルなどで起こっている比較的規模の小さな爆裂や欠損、ひび割れなどの補修で使用できます。

塗り厚の目安を1.0~3.0mm程度とし、厚塗りする場合でも5.0mmを超える場合は「YS厚付けモルタル」などの厚塗りモルタルを使ってください。

仲介接着

カチオンタイトFは、床面や防水、壁面などで、既存仕上げ材の上へ新たな仕上げ材を施工する場合の仲介接着として使用できます。

例えば、コンクリートや陶磁器タイル、大理石などへカチオンタイトFを塗って下地処理をすれば、その上から各種仕上げ材を施工することが可能になります。

まとめ

薄塗りモルタルは、補修や下地処理で欠かせない材料です。

とくに近年では性能が高まり、正しく施工することでメンテナンスの効果は強化され長寿命化を図れます。

また、シーンに適した材料を使用することも重要なポイントです。

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