注入工法

【3分で分かる】工事会社が解説するコンクリート床のひび割れ補修!「伝統的な工法」と「最新の工法」を比較解説

コンクリート床のひび割れ(クラック)は、建築物における一般的かつ重要な課題の一つです。コンクリートのひび割れには様々な要因が影響しており、ひび割れが放置されると、建物の安定性や美観に悪影響を与える可能性があります。特にコンクリート床においては、日常の使用や気象条件の変化などがひび割れの原因となります。

この記事ではコンクリート床のひび割れ(クラック)に焦点を当て、その補修方法について詳しく解説していきます。床ひび割れ補修においては、伝統的な工法と最新の簡易工法の両方が存在し、それぞれに長所と短所があります。読者の方々には、自らの建物における具体的な状況に合わせて最適な補修方法を選択するための知識を提供することを目指しています。

伝統的なひび割れ補修工法:エポキシ樹脂注入工法

背景

エポキシ樹脂は建築業界において、古くから重宝されてきました。日本では第二次世界大戦後に、広島のいわゆる原爆ドームの改修工事で数万トンのエポキシ樹脂が使用されたことが、エポキシ樹脂を多く使用した補修の始まりと言われています。
エポキシ樹脂は硬化すると、一般的にコンクリートの圧縮強度の2.5倍、引張強度の約10倍と言われています。液体の状態で施工しますが、化学反応後は驚異的な強度を発現するため、モルタルやタイルの下地との浮き部やコンクリートのひび割れに注入して、強度の復元を主な目的として使用されてきました。

エポキシ低圧注入工法によるひび割れ補修

ひび割れ幅が1㎜以下程度の場合はひび割れに沿って直接穴を開け、高圧注入ポンプでエポキシ樹脂を注入しようとしても、幅が狭い上に高い圧力で注入する為入りにくいので、一般的には低圧樹脂注入工法(国交省推奨工法)をとります。 これはメーカーにより使用する器具が異なりますが、ひび割れに沿って特殊器具を取り付けて、その器具を仲介することにより低い圧力に変換し、ひび割れにエポキシ樹脂を注入して補修する工法です。

エポキシ樹脂低圧注入工法の良い点

・施工箇所の強度が格段に向上する。

エポキシ樹脂低圧注入工法の悪い点

・工事代金が高い。(材料代、手間代共に高くなる傾向にある)

・工事期間が最低でも2日掛かる。(特殊器具の設置とひび割れのシール併せてエポキシ樹脂注入で1日、特殊器具とシール材の撤去で1日の計2日ないし場合により3日掛かる場合もあり)
・プロでないと施工が難しい(DIY向きでない)
・エポキシ樹脂の特性により、紫外線による黄変(黄色く変色する)があるため、仕上げ材をすることが不可欠。

戸建て住宅の基礎ひび割れを補修して美しく仕上げる方法とは

目新しい簡易工法: セメント系材料充填工法

これはエポキシ樹脂低圧注入工法のように、特殊器具を設置したりひび割れをシールする必要はありません。 製品自体がチューブの中に予め入っており、そこに水を投入してチューブを揉んだり振ったりして攪拌します。 その後ひび割れに水を注いだ後、混錬した材料を流し込みます。

一定時間を経過すると材料が適度に硬化するので、そこで余剰分を皮スキ等で撤去し、最終的にはウエス等でひび割れ周辺を拭きあげて完了です。

そのまま仕上げとしてもいいですし、その上に新規に仕上げ材を施工して頂いても構いません。材料自体がコンクリート近似色ですので、施工後に補修跡がそれほど目立ちません。 容易な施工でひび割れを補修できます。

セメント系材料充填工法の良い点

・工事代が安い(エポキシ樹脂低圧注入工法に比べ材料が格段に安いことと、手間が大幅に減少する) ・施工が簡単である。(プロの業者様だけでなくゼネコンの監督や一般の方でも施工可能) ・工事期間が短い。(原則1日で完了する) ・そのままで仕上げになる(セメント系材料なので、樹脂系の材料より紫外線による劣化を受けにくい)

セメント系材料充填工法の悪い点

・エポキシ樹脂低圧注入工法に比べて施工後の強度や耐久性が低い。

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クラックイレイザー ヤブ原産業株式会社

その他の工法

上記以外にもいくつか工法は存在します。 ”Uカットシール材充填工法”は比較的メジャーな工法です。 これは常時ひび割れに挙動を確認できる、若しくは発生する可能性が高い箇所に適した工法です。 ひび割れの挙動に充填材料を追従させて、極力表面に再度ひび割れが発生しないようにする工法です。 ひび割れを少し幅広にカットし、そこにシーリング材等を充填し、最終的にはポリマーセメントモルタル等で面揃えをし仕上げを行います。

まとめ

 

コンクリートのひび割れの補修は多種ありますが、施工箇所やひび割れの状態(幅・貫通の有無・漏水の有無・それぞれメリット・デメリットがあります。 それを把握した上で工法や材料の選択をすることが望ましいです。

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建築補修用注入エポキシ樹脂の各社商品を簡単紹介

一般的にエポキシ樹脂は液体の場合であっても、硬化するとコンクリートの圧縮強度の約2.5倍、引張強度で約10倍を示すことか
ら、建築業界では重宝され第二次世界大戦後から本格的に使用されてきたようです。
本格的に初めて使用された大規模な現場が広島のいわゆる原爆ドームであると言われています。
エポキシ樹脂は前述の特性から、主に接着剤や注入材として広く使われています。
今回は建築補修用注入エポキシ樹脂に特化しまして、用途やプロが使用する商品を簡単解説します。

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【ひび割れ補修】代表的な工法「注入工法」と「充填工法」を徹底解説

コンクリート構造物などでひび割れが生じると、状況に応じて適切な補修が必要となります。
とくに危険なひび割れを放置すると、劣化を早め、寿命を縮めてしまう原因となるため注意が必要です。
ひび割れの補修には、いくつかの方法がありますが、なかでも代表的なものといえば「注入工法」と「充填工法」になります。
これらは、いずれもひび割れ補修の方法として有効であり、おもにひび割れの規模によって使い分けられることが一般的です。
そこで今回は、ひび割れ補修の代表的な工法である「注入工法」と「充填工法」について、その内容や手順などを徹底解説したいと思います。

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