住宅の外壁仕上げにはいくつかの方法があります。
現在では「サイディング」が最も普及しており圧倒的なシェアを占めていますが、それ以前は「モルタル」が主流でした。
しかし、いずれも人気の仕上げ方法であり、またニーズがあることに変わりありません。
そこで今回は、住宅の外壁仕上げにおける「サイディング」と「モルタル」の違いについて徹底比較してみたいと思います。
外壁のサイディング仕上げについて
現在、住宅の外壁に使われる仕上げ材で最も普及しているのはサイディングです。
サイディングとは、板状に成型された外壁仕上げ材のこといい、大きく以下の4種類があります。
・窯業サイディング
・金属サイディング
・樹脂サイディング
・木質サイディング
「一般社団法人日本窯業外装材協会」のデータによると、新築工事の9割程度にも及ぶ圧倒的なシェアを占めていることがわかります。
なかでも窯業系サイディングは8割近いシェアとなっており、国内で新築される住宅の大部分で採用されていることになります。
またリフォーム市場においては、金属サイディングのシェアが高いことも特徴のひとつです。
サイディングのおもなメリット
サイディングのおもなメリットは以下の通りです。
・施工性がよい
・イニシャルコスト(初期費用)が安い
・バリエーションが豊富
サイディングのおもなデメリット
サイディングのおもなデメリットは以下の通りです。
・目地シーリングが劣化する
・メンテナンスコストが高い
・耐久性が劣るものがある
外壁のモルタル仕上げについて
サイディングが登場する以前の住宅の外壁仕上げはモルタルが主流でした。
モルタルはセメントと砂、水を混ぜ合わせたものをいい、職人の手作業で塗り、さらに塗装で仕上げます。
モルタル外壁のおもな仕上げ方法は以下の5種類です。
・リシン
・リシンかき落とし
・スタッコ
・吹き付けタイル
・左官仕上げ
モルタル外壁は、高度成長期の住宅着工の増加にともなってサイディングが普及し、徐々にシェアを減らすことになります。
新築住宅では、1割にも満たないシェアですが、既存住宅ではまだまだ多く残っています。
モルタル外壁のおもなメリット
モルタル外壁のおもなメリットは以下の通りです。
・目地のない美しい仕上がり
・デザインの自由度が高い
・耐火性に優れる
モルタル外壁のおもなデメリット
モルタル外壁のおもなデメリットは以下の通りです。
・ひび割れが起こりやすい
・イニシャルコスト(初期費用)が高い
・職人の技術に左右される
サイディングとモルタル外壁の特徴による比較
住宅の外壁の仕上げ材であるサイディングとモルタルに関するいくつかの特徴について比較してみたいと思います。
耐久性について
耐久性については、適切なメンテナンスが行われることが前提となりますが、サイディングで40年程度、モルタルで30年程度の耐久年数が期待できます。
ただし、サイディングの期待耐久年数の40年程度とは、現在つくられている高性能なものに限られます。
とくに過去に多く流通していた厚さが12mmのものや通気層を設けず直貼りで施工されているケースなどは、それほど耐久性は期待できません。
メンテナンスについて
メンテナンスについては、いずれも基本的に塗装仕上げとなるため、5~10年程度を目安に定期的な塗り替えが必要となります。
ただし、サイディングの場合は目地にシーリングを充填しており、塗装よりも早く劣化してしますケースもある点では注意が必要です。
シーリングの劣化が進行すると雨漏りや耐久性の低下につながる恐れがあるため、場合によってはメンテナンス周期が早まることもあります。
またモルタルの場合は、ひび割れが起こりやすく、規模によっては補修が必要です。
コストについて
イニシャルコストは、施工性がよく工期も短くできるサイディングのほうが安くなることが一般的です。
モルタルは、職人による手作業が施されることで、どうしても人件費が高くなってしまいます。
また、メンテナンスコストは、いずれも塗り替えが基本となるため、それほど大きく変わりません。
しかし、シーリングのメンテナンスは比較的手間がかかることから、サイディングのほうが若干高くなる傾向にあります。
耐震性について
耐震性は、モルタルよりもサイディングのほうが高くなります。
というのも、耐震性は建物の重量に大きく関係しており、重くなるほど揺れやすくなるためです。
モルタルは、一般的にサイディングよりも重く建物への負担も大きいため、耐震性に影響を及ぼすことがあります。
ただし、建物の耐震性については、構造を強化することにより重量の大きさを補えます。
まとめ
住宅の外壁仕上げは、サイディングが主流となっています。
しかし、モルタルの持つ特有の風合いやオリジナリティ溢れる美しさなどに惹かれる人も多く、一定のニーズがあることは間違いありません。
また、今後は新築よりも既存の改修などが増加傾向にあり、人気の高い「ジョリパット」を使ったメンテナンスなども需要が高く注目を集めています。