建築業界における環境負荷低減に対する取り組み

[著]
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世界的にSDGs(持続可能な社会の実現に向けての目標)への取り組みが活発になって久しい中、それは国内の建築業界においても例外ではありません。
ゼネコン、製品メーカーや商社は模索しながらも、SDGsに貢献できる工法や製品並びにサービスの開発に日夜研鑽を積んでいます。
SDGsの達成目標の中には、当然ながら環境保全や環境負荷低減に纏わる項目がいくつかあります。
今回は、建築業界における環境負荷における取り組みに焦点をあててご紹介していきます。

そもそもSDGsとは?

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、国連で2015年に採択された、持続可能な社会の実現に向けて2030年までに解決すべき17の目標をピックアップしたものです。
その下に、169の達成基準と232の指標が決められています。

環境に関わる目標は主に以下の5つ

11 『住み続けられるまちづくりを』
都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする

12 『つくる責任、つかう責任』
持続可能な消費と生産のパターンを確保する

13 『気候変動に具体的な対策を』
気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る

14 『海の豊かさを守ろう』
海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する

15 『陸の豊かさを守ろう』
陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る

建築業界における環境負荷における取り組みの一例

株式会社LIXIL…建築材料・住宅設備機器業界最大手のメーカー


新築1棟分で各部材をリクシル製品※1で組み合わせた場合に、Co2排出量年間約4,349kg低減。
※1(キッチン自動水栓、タンクレストイレ、シャワートイレ、断熱浴槽、浴槽シャワー、洗面化粧台自動水栓、内装機能タイル、住宅用窓・玄関ドア、日よけ、高性能住宅工法、太陽光発電システム等)

http://LIXIL | LIXILのECO | LIXIL製品でCO2を減らそう

株式会社ノダ…木質系建材を中心とした大手建材メーカー

・間伐材を積極利用
・再生資源、未利用資源である廃木材のチップを繊維化・加熱・圧縮したエコ素材の「MDF(中質繊維板)」を製造
・再生可能な国産針葉樹を使用した「国産針葉樹合板」を製造

http://環境への取り組み | 株式会社ノダ (noda-co.jp)

株式会社アドヴァン…欧州を中心として輸入品を扱う輸入建材メーカー


・耕作放棄地の農地化
・木枠パレットの再利用
・木枠パレット粉砕後にそれを、ウッドチップの原料として製品を製造する

http://未来につながるアドヴァンの社会環境への取り組み | アドヴァングループ (advan.co.jp)

ニチハ株式会社…大手サイディング材メーカー

・オフセットサイディングの製造
オフセットサイディングは、間伐材や国産材から建築用資材を切り出す際に生じる端材を木材チップに加工し、外壁材の原料としたサイディング。
端材の活用で廃棄を減らすことはもちろん、外壁として張ることでCO2の放出を防止し、地球温暖化防止に貢献できるという画期的な製品。年間18万トンのCO2の固定化を実現。

http://張るだけで環境貢献になる外壁。ニチハのオフセットサイディング (arch-materia.com)

鹿島建設株式会社…スーパーゼネコン

・『CO2―SUICOM シーオーツースイコム』Co2吸収型コンクリートの製造
本来のコンクリートの主原料はセメントと水と骨材(砂利、砂)であるが、セメントを製造する段階でCo2を発生する。
スイコムはセメントの代わりに高炉スラグや石炭火力発電時の副産物である石炭灰を用いて、使用するセメント量を削減している。
スイコムは、コンクリートがCO2を吸収・固定することで、トータルの排出量ゼロ以下を実現。

http://CO2低減対策 | 環境保全技術 | 鹿島建設株式会社 (kajima.co.jp)

旭化成ホームズ株式会社…大手ハウスメーカー


2019年11月から『ヘーベルハウス』及び『ヘーベルメゾン』の新築物件はお引き渡し後の定期点検サービスの無償提供をこれまでの30年間から60年間に延長した。
循環型社会を形成するために、定期的で適切なメンテナンスを行うことにより建物の寿命を延ばし、解体で発生する産業廃棄物を減らすことが重要であるという考え方に基づいている。

http://サステナビリティレポート2021 (asahi-kasei.co.jp)

弊社 ヤブ原産業㈱…改修材料をメインとした建材メーカー

❶カチオンタイトのリサイクルポリペール缶と使用済み回収システム

       

弊社の代名詞である、仲介接着剤兼下地調整材の『カチオンタイト』の容器ですが、現在、再生プラスチック50%+バージン(新品)プラスチック50%の割合で製造されたペール缶を使用しています。
なお、使用済みのペール缶が50缶以上まとまると、広域認定制度に基づいて全国各地区(島は除く)に回収するシステムを採用しています。
是非ご活用ください。
※回収量は50~100缶単位で受付。

❷楽砂利ロックのリサイクルプラスチック活用


敷砂利安定補助材の『楽砂利パネル』ですが、100%リサイクルプラスチックを使用しています。

❸溶剤型浸透プライマーから水性型浸透プライマーへ(ガッチリ浸透プライマー)の完全切り替え

     

1978年に発売して絶大な人気を博した溶剤型浸透プライマーですが、脱溶剤の潮流に乗り2007年からは水性型浸透プライマーも発売。
用途による使い分けのためと顧客の強いニーズを受けて併売してきましたが、2021年溶剤型浸透プライマーの販売を終了し、水性型浸透プライマーへ(ガッチリ浸透プライマー)の一本化へ。

まとめ

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
同じような取り組みとしてはゼロエミッションというものがあります。
これは1994年に国連大学により提唱された考え方です。エミッションには「放出・排出」などの意味があり、生産活動から排出される廃棄物をリサイクルすることで埋め立て処分量ゼロを目指すというのが基本的な考え方です。
これら環境に対する取り組みは、政府や地方公共団体並びに企業、学校等が幾ら声を挙げて旗を振っても、ひとりひとりの意識がそちらに向かないと実現することは非常に困難です。
環境負荷低減に貢献する活動を些細なことからでも始めてみましょう。

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