街中を歩いていると、いたるところでブロック塀を目にします。
そしてブロック塀のなかには、地震が発生すると倒壊する恐れのある危険なものも多く残っています。
過去には、地震で倒壊したブロック塀が原因によるいたましい事故も複数回起こっています。
危険なブロック塀は、不測の事態が起こる前に適切な対処を講じる必要があります。
では、それら危険なブロック塀はどのように判断するとよいのでしょうか?
今回は、危険なブロック塀を判断する5つの基準と撤去費用に利用できる補助金制度について解説します。
危険なブロック塀を判断する5つの基準
ブロック塀の設計基準は建築基準法によって定められています。
ただし、建築基準法に定められているのは、あくまでも最低限守らなくてはいけない基準です。
安全性を担保するためには、より厳格な設定となる「社団法人日本建築学会」の基準を満たして設置されることが望ましいでしょう。
「社団法人日本建築学会」が推奨するブロック塀の基準について、大きく5つのポイントを簡単に紹介します。
ブロック塀の高さ
ブロック塀の高さが、基準よりも高い場合は危険と判断します。
ブロック塀の高さ基準
・地盤面から2.2m以下
一般的なブロック単体の高さは19cmです。
11段(11×19 cm=2.09m)までは規定の範囲で、12段目からは危険ということになります。
ブロック塀の厚さ
ブロック塀の壁の厚さが、基準より薄い場合は危険と判断します。
ブロック塀の壁の厚さ基準
・高さ2m以下の場合は12cm以上
・高さ2m超~2.2m以下の場合は15cm以上
ちなみに建築基準法では10cm以下となっています。
ブロック塀の控え壁
ブロック塀が1.2mを超える高さがある場合に、規定の控え壁が設置されていない場合は危険と判断します。
ブロック塀の控え壁基準
・ブロック塀の長さ3.4m以下ごとに、塀の高さの1/5以上突出した控え壁を設置
ブロック塀の高さが1.2m(一般的に6段)を超える場合は、3.4m以下ごとに控え壁の設置が必要です。
控え壁がない、あるいは間隔が3.4mを超えている場合は危険ということになります。
ブロック塀の劣化状況
ブロック塀の劣化状況から、危険性を判断します。
ブロック塀のおもな劣化状況
・ひび割れ
・欠損
・塀の傾き
・鉄筋の錆び
ブロック塀は経年とともに劣化し、さまざまな症状が現れるようになります。
なかでも危険なのは、鉄筋の錆びです。
鉄筋が錆びると膨張するため内側から破壊が起こり、さらに範囲を広げていきます。
鉄筋の錆び、あるいは錆び汁などを確認したときは、速やかな修理が必要です。
また、ひび割れや欠損によって雨水が侵入するようなら鉄筋が錆びる原因になるため、気付いた段階で適切な補修をしておくとよいでしょう。
ブロック塀その他の基準
ブロック塀は、内部の「鉄筋」の配置や「基礎」などが基準通りにつくられていない場合は危険と判断します。
ただし、これらの安全性は、既存のブロック塀を目視で判断することは難しいため、プロの業者に相談することをおすすめいたします。
ブロック塀の鉄筋について
ブロック塀のなかに規定の鉄筋が配置されていない場合は危険と判断します。
ブロック塀の内部には、直径9mm以上の鉄筋が縦横80cm以下で配置され、そして縦筋は壁の頂部と基礎の横筋に、横筋は縦筋に対し、それぞれかぎ掛けされている必要があります。
ブロック塀の基礎について
ブロック塀は、鉄筋コンクリートで強固につくった基礎と一体化されている必要があり、とくに基礎そのものがない場合は耐震性を期待することはできません。
また、ブロック塀の基礎は35cm以上の根入れが必要です。
根入れとは、地中に埋めることをいい、深くなるほど地盤が支える力が大きく倒れにくくなります。
危険なブロック塀の撤去は補助金制度が利用できる
危険なブロック塀を撤去する場合、一定の条件を満たすことで補助金制度を利用できる可能性があります。
ブロック塀撤去の補助金制度は自治体によって内容が異なるため、撤去を検討している場合はお住まいの自治体に問い合わせをしてみてください。
おもな内容について簡単に紹介します。
適用条件の例
- ブロック塀の高さが地盤から1m以上
- 倒壊の危険性がある
- 道路に面している
補助金額の例
- 除却工事費用の1/2、2/3など
- 上限金額15万円など
一般的な流れ
- 自治体へ補助金の申請
- 審査に合格で交付の決定
- ブロック塀の撤去工事
- 工事完了報告
- 工事に問題がなければ振込
まとめ
身の回りのブロック塀は、安全であるかどうか確認しておくことが重要です。
とくにブロック塀の所有者は、しっかりと安全性の確認をしておかなければいけません。
万が一、倒壊によって他人に損害を与えた場合は責任を問われる可能性があります。
そして、危険なブロック塀である場合は、プロの業者に相談のうえ必要な処置を施すようにしましょう。