築年数が経っているマンションのベランダ部分のコンクリートやタイルが、部分的に剥落しているのを見たことはありませんか?剥落の原因として考えられるのが「埋め込み金属の腐食」です。
ベランダに設置している手すりの金物の腐食によって、コンクリートやタイルが剥落してしまうのです。今回は、埋め込み金物の腐食によるコンクリートとタイルのひび割れ原因や、対策についてお伝えします。
埋め込み金物が腐食してコンクリートとタイルを剥落させた事例について
竣工から25年経ったマンションの手すりが腐食し、コンクリートとタイルを剥落させるという事例が多発しています。
手すりの腐食によってコンクリートとタイルが剥落してしまう原因には、以下の2つが考えられます。
・伸縮継手を設置していなかったため、熱伸縮によって支柱部分に負荷がかかった
錆や腐食はコンクリートを「中性化」させる原因になります。中性化によってコンクリート内部の鉄筋が腐食して膨張し、コンクリートがひび割れてしまうのです。
コンクリートのひび割れを放置していると、そこから雨水が侵入してさらに腐食が進み、最終的にはコンクリートと周辺のタイルまで剥落してしまうのです。
また、手すりは夏などの気温が高い時期や、昼夜の気温差がある日には「熱伸縮」が起こります。手すりに伸縮継手が設置されていないと、伸縮によって支柱部分に負担がかかり、支柱周辺のコンクリートを破損させてしまうのです。
コンクリートとタイルの剥落を防ぐための対策と補修
コンクリートとタイルの剥落を防ぐためには、剥落原因に合わせた対策が必要です。
手すりの支柱部分には防錆効果の高い金属を使用し、支柱部分から雨水が侵入しないようにシーリングをします。
すでに腐食が起こっている場合、軽度ならばシーリングを行い雨水の侵入を防ぎます。タイルにヒビ割れが見られたら、ヒビ割れ部分に樹脂を注入するなどの部分補修が必要です。
支柱部分の腐食が激しくタイルもひび割れていたら、表面を削って防錆加工を行い、下地処理も行います。下地を再調整したあと、タイルを張り替えが必要です。
また、手すりに伸縮継手が設置されていない場合には、手すりの長さに合わせて伸縮継手を設けて熱伸縮の対策をします。
手すりを設置するときには施工時に腐食対策を行うことが大切
ベランダに設置した手すりの支柱部分の腐食によって、コンクリートやタイルの剥落が起こります。
コンクリート上に手すりを設置するときには、支柱部分に防錆加工やシーリングを施すことが大切です。
また、手すりの長さに合わせて伸縮継手を設けて熱伸縮の負荷を減らし、破損やひび割れを防ぐ対策も行ってください。