コンクリートの寿命は、内部の鉄筋が錆びるまでとされています。
しかし、いくら耐久性の高いコンクリートであっても、経年劣化や欠損などが生じてしまうため、鉄筋へ影響が及ばないよう適宜補修することが重要です。
また、コンクリートの補修は、補修する部位によって使用する材料を使い分ける必要があります。
とくに注意しておきたいのは施工が難しい天井面や高所になりますが、「軽量モルタル」を使うことで品質を確保しながら美しい仕上がりも期待できます。
そこで今回は、コンクリート補修に使用する「軽量モルタル」とはどのようなものなのか、また天井面、高所への補修に最適な理由や補修方法などをご紹介します。
軽量モルタルとは?
軽量モルタルとは、セメントに特殊な軽量骨材を配合し、水を加えて練り合わせたものをいいます。
またその他にも、合成樹脂に軽量骨材を配合し硬化剤と混ぜ合わせるものなど、さまざまなタイプがあります。
いずれも、一般的によく使われるモルタルと比べて軽量で速乾性があることが大きな特徴です。
なお、一般的によく使われるモルタルとは、セメントに砂と水を混ぜ合わせた、いわゆる「セメントモルタル」のことを指します。
天井のコンクリート補修に軽量モルタルが最適な理由
軒天井などのコンクリートが劣化すると、破片が落下するリスクもあるため適切に補修しなくてはなりません。
ところが、天井面への補修は難しい作業がともないます。
というのも、軒天井のような部位へ補修するときに一般的なセメントモルタルを使うと、自重によって垂れ下がってくるためです。
充填した部分が垂れ下がると、見栄えが悪くなるのはもちろんのこと、モルタルの密度が低下するため補修としての機能を十分に発揮できません。
よって、天井面への補修は軽量で垂れ下がることのない軽量モルタルが最適なのです。
天井のコンクリート補修には、軽量モルタルを使うと十分な品質を確保しながら美しい仕上がりにも期待できます。
天井のコンクリート補修に最適な補修材「YS厚付モルタル」
こちらでは、天井のコンクリート補修に最適な補修材をご紹介いたします。
その補修材とは、弊社の一材型セメント系カチオン性樹脂モルタル「YS厚付モルタル」です。
「YS厚付モルタル」は、コンクリート構造物の断面修復や不陸調整における厚付け作業を可能にした高性能ポリマーセメントモルタルになります。
もちろん天井面に限らず、コンクリートやモルタルなどの欠落および欠損部、そして爆裂部などあらゆる補修に適した材料です。
おもに、3~60mm程度の欠損部への充填で効果を発揮します。
また、カチオン特性を持つ粉末樹脂を配合した高性能軽量ポリマーセメントモルタルとなるため、きわめて強い接着性が強みとなっています。
要するに、軽量で接着性が強いという特徴が天井面への補修を可能とするわけです。
ちなみにカチオン特性とは、プラスの電気を帯びた陽イオン(カチオン)とマイナスの電気を帯びた陰イオン(アニオン)が磁石のように引き付けあう電気的接着性のことをいいます。
YS厚付モルタルを使った天井面の補修方法
YS厚付モルタルを使ってコンクリートの天井面を補修する方法について簡単に解説いたします。
おもな手順は以下の通りです。
- 脆弱部分を除去
- 鉄筋が錆びている場合は防錆び処理
- プライマー塗布
- YS厚付モルタルの混ぜ合わせ
- YS厚付モルタルで補修
①脆弱部分を除去
まずは、コンクリート欠損がある周辺の脆弱部分をすべて除去します。
脆弱部分が残ったまま補修すると、再発しやすく早い段階で再補修しなくてはならない可能性が高まります。
②鉄筋が錆びている場合は防錆び処理
鉄筋に錆びが見られる場合は、適切な防錆び処理がポイントになります。
錆びが残ったままでは補修作業としては不十分であり、補修後にも再発しやすいため注意が必要です。
鉄筋が錆びると体積が膨張しコンクリートを内側から破壊しますが、この現象を「爆裂」と呼び、コンクリートにとってきわめて深刻な症状となります。
そのため、鉄筋が錆びているようなら確実に処理することが重要になるのです。
防錆び処理の手順として、まず鉄筋の錆びた部分の周囲をはつり落として完全に露出させ、鉄筋の錆びを完全に取り除いた後に錆び止め塗料などで処理を行います。
③プライマー塗布
下地処理が完了したら、しっかりと掃除を行い「YS厚付モルタル」との接着性を高めるためにプライマーを塗布します。
なおプライマーには、弊社の「ガッチリ浸透プライマーW/寒冷地」を使うと相性もよく効果的です。
④YS厚付モルタルの混ぜ合わせ
「YS厚付モルタル」を混ぜ合わせ準備を行います。
一度に混ぜ合せる量は、可使時間(夏期30分、冬期60分)を目安とし、使い切れるだけとすることがポイントです。
「YS厚付モルタル」1袋(15kg)に対し、清水 2.8~3.0Lを混入してハンドミキサーなどを使って均一に練りあげます。
⑤YS厚付モルタルで補修
「YS厚付モルタル」でコテ塗りによる補修を行います。
一度に塗りつける量は3~20mm を限度とし、それ以上になる場合は複数回に分けることがポイントです。
また、可使時間(夏期30分、冬期60分)を過ぎてしまった場合は、材料を練り戻して使用すると不具合を起こす原因となるため廃棄するようにしてください。
カタログ、詳しい資料はこちらから
まとめ
軽量モルタルは、コンクリート補修をするうえで最も適した補修材といえます。
とくに天井面への施工になると、軽量なものを使わないと自重で垂れてしまいます。
状況に応じた材料を使うことも補修作業では重要です。
天井面のコンクリート補修を行う場合は、品質を確保しながら美しい仕上がりにも期待できる軽量モルタルを使うようにしましょう。