漆喰に塗料は塗れない?漆喰改修時に使用できるプライマーを解説

[著]
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漆喰を塗装で塗り替えたいけど、漆喰に塗れる塗料がない!そのようなお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか?ガッチリ浸透プライマーシリーズは2007年に発売以来、脆弱な下地を固めて、上塗りが可能な状態にするための浸透強化剤兼プライマーとして様々な下地に使用して頂いております。今回は漆喰の下地に焦点を絞り、選ばれる理由・効果・施工事例等を説明します。

使用される下地

どのような場所にガッチリ浸透プライマーをご使用頂いているのか、アンケート調査を行った事があります。対象は、左官業社様、塗装業者様など実際商品を使用されたことのあるユーザー様200社です。すると以下のような結果となりました。

コンクリート・モルタル面は発売当初に、雨打たれや凍害の補修で使えるということを徹底してPRしてきたため、やはり一番多く使われている結果となりました。次に多かったのは漆喰下地でした。漆喰に関しては、コンクリート・モルタル面とは違い、大々的にはPRしていませんでしたが、「漆喰に使えるプライマー」ということ自体にインパクトがあったようです。

漆喰に塗装はできない?

塗料業界では、「漆喰には塗装できない」と認識されている方が多いように見受けられます。理由ははっきりしていませんが、いくつか考えられます。

・アルカリ性が高い為に塗れない

・表層が粉っぽいので塗れない

・漆喰と塗料の相性自体が悪い

漆喰は施工後から長い年月をかけて硬化していきます。その過程でアルカリ性から中性へ変化していきますが、一説には、10年経過しても強アルカリの成分を示しているようです。ただし、強アルカリを示すのは漆喰内部であり、表層は中性化していますので、ガッチリ浸透プライマーを使用する改修工事の場面では問題なく施工できます。

また、ガッチリ浸透プライマー自体にも耐アルカリ性が有りますので、多少アルカリ成分が高くとも剥がれるという可能性は低いですが、仮に漆喰を施工して間もない状態でガッチリ浸透プライマーを塗りたい場合は、漆喰施工後4週以上は間隔を開けた方が良いでしょう。

ガッチリ浸透プライマーの上に塗料を施工する場合も、念のため耐アルカリ性の高いものを選ぶのが良いでしょう。 表面が粉っぽい場合でも、ガッチリ浸透プライマーの浸透強化力で表層をしっかり固めてしまいますので、問題ありません。

さらに、ガッチリ浸透プライマーは水性アクリル樹脂ですので、全面に塗ってしまえばアクリル層が形成されます。従って塗料と漆喰の相性には左右されなくなります。

このように、ガッチリ浸透プライマーを塗ることによって、塗装出来ないとされてきた条件をクリアできるので、これまで多くの漆喰の塗替え現場で実際にご使用いただいております。

施工事例

某美術館の倉庫 天井漆喰に使用していただきました。

古くなった漆喰にガッチリ浸透プライマーを塗布し、漆喰の表層を固めて上塗りが可能な状態にします。 仕上げは水性塗料を使用しました。

ほかにも、国宝や歴史的建築における漆喰補修で多数の実績があります。

ガッチリ浸透プライマー×漆喰・土壁補修|国宝や歴史的建築の補修にも使用された補修材

試験結果

漆喰にガッチリ浸透プライマーを塗布するとどのくらい効果があるのでしょうか?実際当社で試験したデータを見てみましょう。

図は各部材にガッチリ浸透プライマーを塗布し、仕上げ材を施工した場合の付着強度をグラフで示したものです。 ご覧のように、漆喰に関しては、強度は1.7倍に強化されます。

次に、塗料を使った碁盤目試験の結果を見てみましょう。
※碁盤目試験(クロスカット試験)とは・・・塗料の密着性・付着性を調べる試験です。 仕上げ塗料を塗った試験面にカッターで1mmから5mmの間隔に縦横に切り込みを入れて、25個の碁盤目を作ります。目の部分にセロハンテープを強く圧着させた後、テープの端を約45度から約60度の角度で一気に剥がして、碁盤目の状態を標準図などと比較して評価するという方法です。剥がれたマスの目の個数によって判定をします。

使用した弱溶剤仕上げ材は、シーラーレスタイプのものです。ほとんどのマス目がテープで剥がれていますので、ほとんど密着していないということになります。

こちらはガッチリ浸透プライマーを漆喰に塗布した後に弱溶剤塗料を塗った場合の結果です。マス目は1箇所しか剥がれていません。 このように、ガッチリ浸透プライマーを使用することによって、 下地の強化と上塗りの密着が可能となっております。

施工上の注意

漆喰に施工する場合には注意点があります。外部などに施工されている場合、漆喰の中に油の成分を混入し、防水性を高めている場合があります。また、コテでしっかりと抑えられた(磨かれた)表面の場合、水分の吸い込みがほとんどない場合があります。

ガッチリ浸透プライマーは吸い込ませて初めて効果を発揮する商品ですので、いずれの下地も吸い込みのない状態ですと、表層で弾かれて、フィルム状に固まってしまい、簡単に剥がれてしまいます。 そのような吸い込みのない漆喰の場合は、サンドペーパーで削るなどして、吸い込みを良くしていただければ問題なく施工できます。

左面がガッチリ浸透プライマー塗布面。施工後は、濡れ色感と艶感があります。 ガッチリ 浸透プライマーの適用下地は、基本的には無機系下地です。吸込みのある下地といってもいいかもしれません。浸透させて初めて効果が現れますので、吸込みの無い下地(プラスチック、鉄、活膜の塗料)には効果が期待できません。

ガッチリ浸透プライマーが施工できるか簡単に見分ける方法としては、水を霧吹き等で吹き付けて、水が染み込めば使用可能です。水が浸透しないようであれば使用できません。(上述の漆喰のように、表面をペーパーがけすることで施工可能になる部材もあります)

・脆弱モルタル)吸い込みを確認できます。


・塗料(活膜)吸い込まずに弾かれています。

ガッチリ浸透プライマーの塗布量は、カタログ上で200g~500g/㎡としています。 使用量に差があるのは、下地によって全く塗布量が異なるからです。 目安としては、下地の吸込みが無くなるまで、表面に樹脂感が残るまで塗布して下さい。

吸い込みが多いのに、塗布量が少ない場合は、部材内部しか固められず、表層は脆いままという可能性がございます。 複数回塗布する場合は、追っかけで1時間以内に行ってください。 時間を空けてしまうと、ガッチリ浸透プライマーが固まってしまい、浸透できなくなってしまいます。

このように、ガッチリ浸透プライマーの施工前には、施工できる下地かどうかの確認が必要となります。あまりにも脆弱すぎる下地(爪で引っ掻いて削れる程度)ですと、ガッチリ浸透プライマーでも固めきれない場合がございます。

まとめ

ガッチリ浸透プライマーは漆喰下地に使用することは効果的ですが、それだけではありません。外部で漆喰の場合はその下が土壁であることが多く、経年劣化が激しい場合は、漆喰が落ちて土壁が露出している場合も珍しくありません。その場合にもガッチリ浸透プライマーで土壁の表層強化ができます。

弊社では、事前にテスト施工できるように少量サンプルをご提供しておりますので詳しくはこちらまでお問い合わせ願います。

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