モルタルやコンクリートなどを構成する材料に砂や砂利などがありますが、これらを一般的に「骨材」と呼びます。
しかし、「骨材」とは具体的にどのようなものを指していうのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか?
また、モルタルやコンクリートに「骨材」を混合しているのは、どのような理由があるのでしょうか?
そこで今回は、モルタルやコンクリートなどに使用される「骨材」について、その種類と重要な役割を徹底解説したいと思います。
骨材とはなに?
骨材とは、モルタルやコンクリートなどをつくるときに使われる、砂や砂利などの材料のことをいいます。
モルタルの場合は、セメントに砂と水を加え混合してつくります。
このときの砂が「細骨材(さいこつざい)」と呼ばれる骨材の種類のひとつです。
そして、コンクリートの場合は、モルタル(セメント+砂+水)とさらに砂利を加え混合してつくります。
このときの砂利が「粗骨材(そこつざい)」と呼ばれる骨材の種類のひとつです。
また、コンクリートをつくるとき、使用する材料で最も多いのが骨材であり、全体の7割程度を占めている点からも重要な存在であることがわかります。
ちなみに、骨材を加えず、セメントと水のみでつくったものを「セメントペースト」といいます。
骨材の種類とは?
骨材には多くの種類がありますが、分類にもいくつかの方法があります。
分類ごとに骨材の種類を以下にご紹介いたします。
サイズによる分類
骨材は、粒のサイズによって分類できます。
この分類が一般的によく用いられる方法であり、その種類は以下の通り大きく2つです。
・細骨材
・粗骨材
細骨材
細骨材は、10mmのふるいを使ったときに通過したもので、かつ質量で全体の85%以上が5mm未満のサイズのものをいいます。
粗骨材
粗骨材は、5mmのふるいを使ったときに、質量で85%以上が留まるものをいいます。
つまり、粒径5mm以上のサイズが全体の85%以上を占めている骨材ということです。
製造方法による分類
骨材は、製造方法によって分類できます。
その種類は以下の通り大きく3つです。
・天然骨材
・人工骨材
・再生骨材
天然骨材
天然骨材は、川や山、海など自然から採取してつくるものをいいます。
おもに採取した場所によって名称が変わりますが、代表的なものといえば以下の通りです。
・川砂
・山砂
・陸砂
・海砂
・川砂利
・山砂利
・陸砂利
また、採取した場所によって成分が異なることから、コンクリートなどの品質にも影響を与える点では注意が必要です。
例えば、海砂は塩分を含んでおり、鉄筋が錆びる原因となるため、採取後に洗浄するなどの処理を行わなければなりません。
人工骨材
人工骨材は、人の手を加えてつくった人工的な骨材のことをいいます。
人工骨材の代表的なものは以下の通りです。
・砕石
・砕砂
・人工軽量骨材
・高炉スラグ骨材
再生骨材
再生骨材は、建築物の解体などによって生じる廃材を再利用してつくる骨材のことをいいます。
重さによる分類
骨材は、その比重によって分類できます。
種類は、以下の通り大きく3つです。
・普通骨材
・軽量骨材
・重量骨材
骨材の役割とは?
コンクリートは、セメントに砂や砂利などの骨材と水を加え混合してつくります。
そして、これらのうち、セメントと水の化学反応、いわゆる水和反応が起こることによって硬化します。
つまり、骨材とは関係のないセメントペーストの部分です。
しかし、建築物で使われるのはセメントペーストではなく、骨材を含むコンクリートになります。
なぜ骨材を入れているのかといえば、それは重要な役割を担っているためです。
その役割について、以下に解説いたします。
骨材の役割①ひび割れの抑制
セメントと水が化学反応を起こし、新たな化合物になることを水和反応といいます。
そして、水和反応の過程で発熱が起こりますが、そのとき周囲との温度差によりひび割れが生じることがあります。
そのため、骨材を入れてセメントの量を減らすことで、発熱量を抑えているわけです。
その結果として、ひび割れの抑制効果が働きます。
骨材の役割②収縮の抑制
水和反応によって硬化が進むと、水分が蒸発して収縮が起こります。
収縮が起こると、体積減少による変形やひび割れなどの症状が現れることがあります。
そのため、収縮しない骨材を入れてセメントの量を減らすことで、全体の収縮割合を少なくする効果が期待できるわけです。
骨材の役割③材料コストの低減
コンクリートを構成する材料のなかで最もコストが高いのはセメントになります。
つまり、セメントの割合が高くなるほど材料コストが上がるということです。
建築物は大量のコンクリートを使用しますが、例えば、セメント比率の高いセメントペーストやモルタルに代えてつくると、コストはとんでもなく跳ね上がってしまいます。
セメント比率の低いコンクリートを使うことが、コスト低減につながるわけです。
まとめ
骨材にはさまざまな種類がありますが、使う種類によって性質が変わります。
また、硬化後の不具合を防いだり、あるいはコスト低減に寄与したりするなど、非常に重要な役割を担うものでもあります。
よって、骨材は、建築物の品質を左右することにもつながる材料なのです。