壁面用天然石(砂利)樹脂仕上げ材の種類と特長を解説

[著]
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建築分野において古来より使用されている自然素材の物を思い浮かべる時、大概の方は木、石、土あたりだと思います。
個人的には建築物において、木が最も仕様される頻度と使用量が多いと思いますが、石も様々な用途かつ素材で建築物を構成する材料として使用されています。
今回は石は石でも、樹脂と組み合わせた砂利の壁面用仕上げ材について解説します。そのような時に用いられる砂利を骨材と呼ぶ場合もあります。
以前は国内の至る所で日本特有の砂利を採取出来ましたが、現在は法規制等によりその殆どが採取できなくなり、外国からの輸入に頼っている現状です。

壁面用天然石(砂利)樹脂仕上げ材とは?

        

壁面のコンクリートやモルタル、コンクリートブロック下地等の上に塗る、合成樹脂を用いた天然石(砂利)の仕上げ材です。
お菓子の雷おこしに似た仕上がりです。メーカーによっては砂利の隙間にセメント系材料を充填し、洗い出し調にする製品もあります。通常、左官業者様などコテを使える方が施工します。

使用されている砂利(骨材)について

 

形状

大別すると2種類です。
・玉砂利
陸から産出された石が、川から海に流れてくる過程で削られて角が取れて丸くなったもの。
・砕石系砂利
天然の岩石を破砕して作られたもので角ばっているもの。

色相


白系、赤系、緑系、茶色系、黒系様々です。単一の色であるものはもちろんのこと、数種類の色の砂利が混ざりつつ一つの砂利の色として認識されているものもあります。
その一つが伝統の左官工法である『洗い出し』で使用されてきた大磯という砂利です。
黒、濃紺、茶、灰、白、緑系の砂利が混ざった独特の色合いです。
御影石系のように、ベースとなる色に黒のまだら模様が入るものあります。

大きさ

通称7厘と呼ばれる2~3㎜程度ものが多いです。メーカーによっては1分砂利と呼ばれる3~5㎜程度もの、2分砂利と呼ばれる5~7㎜程度ものを使用するメーカーもあります。

組成

粘板岩系、石灰系、大理石系、御影石系等様々です。

輸入元


現在ではアジア圏が多くを占めます。フィリピン、中国、ベトナム、台湾等です。

用途

玄関内部の巾木や直接雨掛かりしない基礎や木造モルタル外壁の腰壁等に施工されてきました。
外構では門塀や塀でも使用されています。
他には店舗の内装の壁面や客席毎の間仕切り壁等に施工されています。

壁用天然石(砂利)樹脂仕上げ材の各社製品

『ミュールストーン』…株式会社ヤブ原様(旭化成ケミカルズ株式会社様)

かつて左官業界において、一世風靡した『ミュールストーン』です。
津々浦々の左官業者の方々が施工されたと思います。
7厘程度の砂利に対して水性樹脂を使用していることから、耐水性は若干劣るものの塗りやすい製品です。
標準色は18色でした。標準塗り厚は3㎜です。
恐らく壁用天然石(砂利)樹脂仕上げ材の中で最も有名だと思います。
残念ながら2022年春に販売終了しました。

『ペブルウォール』…四国化成工業株式会社様


溶剤系のアクリルプライマー(下塗り)と骨材混練用の樹脂は水性タイプです。
7厘程度の砂利で標準色は10色です。
標準塗り厚は2㎜です。

『FC玉石』…フジワラ化学株式会社様


自然石の落ち着いた色調と風合いを再現している仕上げ材です。
7厘程度の砂利で標準色は11色です。
骨材混練用の樹脂は水性タイプです。
標準塗り厚は2㎜です。

彩立上りシリーズ『彩立上りビーンズ』『彩立上り洗い出し』…弊社 ヤブ原産業株式会社

『彩立上りビーンズ』

 

樹脂と砂利を混ぜた仕上げ材で、前述3製品と似た仕上がりです。
砂利の大きさは1分石(約3~5㎜)と2分石(約3~7㎜)をご用意しております。
26種類の標準色をご用意しております。

『彩立上り洗い出し』

樹脂と砂利を混ぜて固めた後に、そこの空隙に専用セメント系材料を充填して強度を増した製品です。
在来工法の洗い出し調に似た仕上がりです。
砂利の大きさは1分石(約3~5㎜)と2分石(約3~7㎜)をご用意しております。
24種類の標準色をご用意しております。
彩立上りシリーズの骨材混練用の樹脂は無溶剤ウレタン樹脂です。

前述3製品との大きな違いは、3つです。

❶強度と耐水性が遥かに高いです。
(前述3製品は樹脂の溶媒として水を使用していることに対して、彩立上りシリーズの樹脂は無溶剤タイプ、即ち樹脂がほぼ100%だからです)
❷砂利が大きく塗り厚が厚いので、迫力があります。
❸砂利が大きく塗り厚が厚い分、材料代が若干割高です。

作業性(塗りやすさ)については、前述3製品は砂利の大きさが7厘でかつ樹脂が水性タイプなので、彩立上りシリーズの方が若干劣る部分があるかもしれません。
※施工可能な高さの上限は腰壁(1m程度)までとしています。

彩立上りシリーズの施工事例

まとめ

天然石は建築材料として根強いニーズがあります。その中で天然石(砂利)樹脂仕上げ材は、煌びやかであったり厳かな印象を醸し出すことができる上に、曲線を表現できる点等が重宝され大変人気があります。
弊社ヤブ原産業は、天然石(砂利)樹脂仕上げ材の先駆者として日々研鑽を積んでおります。
・天然石(砂利)の選定(色相、粒度に加えて砂利自体の強度も確認しています)
・原料の物性確認(下塗り、バインダー、目詰め材等の強度や耐候性等の物性はもとより、安全性・作業性も考慮しています)
・工法の考案(建築現場において使用される様々なシーンに適した工法の開発に取り組んでいます)
これら三位一体として捉えた独自の製品開発を行っております。

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