防水材のふくれについて簡単解説

[著]
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過酷な夏を過ぎ秋に入り、長雨の季節になりました。防水処理・雨仕舞は、建築物の耐久性や居住性において最も重要な工事であると言っても過言ではありません。防水材の種類は様々あり、主にはアスファルト防水、ウレタン防水、ゴムシート防水、塩ビシート防水、ポリマーセメントモルタル防水、FRP防水等です。今号では防水層を施工した後に問題となることが多い、防水層のふくれに焦点をあてて解説します。

防水材のふくれとは

防水材が部分的に下地から剥がれてふくれること。放置するとふくれは拡がり、場合によっては切れたりして漏水の原因となる。

ふくれのメカニズム

❶防水層下側に僅かな空間がある。または施工時に接着不良空間がある。コンクリート自身多孔体(微小な穴が多いもの)であるから、本来微小な空隙があるとも言える。

❷コンクリートは必ず水分を含んでいるので、その空隙は湿気で満たされる。

❸太陽が昇ると共に防水層の温度が上昇し、空隙内の湿気が膨張する。その時の圧力の上昇は、飽和状態で20℃から60℃に温度が上がると仮定した場合、約0.3kg/c㎥の圧力上昇となる。実際には飽和状態ではなく、気体の一部はコンクリート中に逃げるのでこの値よりは低くなる。

❹この圧力が防水層と下地の接着力に勝ると、防水層が剥離し押し上げられる。『ふくれ』の発生である。

❺午後から夜にかけて防水層の温度が低下し、空間の圧力が徐々に低下してふくれも小さくなる。しかし、圧力が元に戻っても、防水層はふくれた分だけそれを残す。

❻夜になると屋上面の温度が低下し、ふくれ内部の温度とコンクリート内部の温度が逆転し、コンクリート内部の圧力も反転し、湿気をコンクリート内部からふくれの方へと移動させる。

❼翌日また太陽が昇り、水蒸気が膨張し、膨れた圧力が上昇して多少以前のものより大きくなる。この繰り返しでふくれが拡大する。

ふくれの弊害

◆下地の劣化
◆防水層の破損の拡大
◆雨漏りによる構造部の錆や腐食
◆雨漏りによる内装材のカビの発生
◆雨漏りによる電気系統の事故

ふくれの補修方法

代表的なものが以下の通りです。防水材の種類により補修方法は変わります。
◆ふくれている部分を切開して、補修後にパッチを貼る。
◆熱溶着で剥がれている部分を溶着。
◆破れているシート一枚のみを剥がし、新しいシートを設置・シーリングで隙間や破断部分を塞ぐ。

ふくれの事前対策

       

❶施工前にコンクリート等の下地の含水率を8%程度にする。(防水材メーカーにより推奨数値には違いがあります)一般的にはコンクリート・モルタル水分計を使用して計測します。
❷下地表面のひび割れ、ピンホール、ジャンカ等を無くし、健全な下地に防水層を施工する。改修工事の際には、カチオンタイト等を施工して健全な下地を作ること。
❸国土交通省の公共建築工事標準仕様書に定められたX-1工法(通気緩衝工法)を採用し、下地の湿気を外部に放出させる。

まとめ

防水材の多くは、それ自身を護るためにトップコートという塗料を塗ります。トップコートは塗料であり、直射日光等の外的要因により劣化していくものであり、定期的な塗り替えが必要です。これも防水材の劣化を防ぎ、防水材を長持ちさせる対策のひとつです。
雨漏りは建築物にとって様々な被害をもたらしますので、異変や不具合を見つけた際には、早急に対応をすることが被害の面、費用の面でも少なく納める方法であると考えます。

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