世界の左官を学ぶ【韓国編】韓流から見える日本の左官の可能性

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私たちがたずさわる日本の左官。

世界の左官を学ぶことで日本の左官の未来へのヒントを学ぶシリーズ。

今回は、お隣り韓国の左官事情をまとめました。

韓流ドラマや韓流アイドルなど、エンターテイメント先進国の韓国。

韓流ブームで日本との関係も深い韓国ですが、左官の仕事は日本とどのような違いがあるのでしょうか。

韓国の概要

韓国の面積は大まかに日本の面積の約1/3。

韓国の人口は約5,100万人、日本の人口は約1億2,700万人で人口は日本の4割ほどですが人口密度は韓国の方が高い状態にあります。

首都でも比較すると東京927.3万人 (2015年)に対しソウルは977.6万人 (2017年)と東京23区とほぼ同じ大きさながら人口は東京より密集しています。

そのためソウルの方が住居に掛かる費用が日本より高額です。

通貨は韓国ウォン。為替レートは100ウォン→日本円で約9.5円(2020年)約1/10と覚えましょう。

北朝鮮も同じウォンですが、韓国ウォンとは使用している貨幣もレートも違います。

韓国での左官の必要性

コンクリート不陸調整として左官モルタル塗り

韓国で左官が必要とされるのは、ほとんどが新築工事においてです。

補修工事や改修工事もありますが部分的な補修や床のレベリングなどで数は少ないです。

新築工事では型枠撤去後の巣穴(ピンホール)が多いため不陸調整として左官モルタル塗りが行われます。

型枠に使われる材料は日本とほぼ変わりませんので、おそらくコンクリート品質、精度の問題です。

ちなみに鉄筋の結束などに使われる日本で言う番線、針金を、ハングル語の表記では반생ですが読み方は(バンセン)と、日本語と同じ発音です。

韓国で左官職人になるには?

資格や学歴は必要とせず見習いとして技能を習得し一人前になる

韓国で左官職人になるため、特別な資格や学歴が要求されることはありません。

ほとんどの場合、建設現場で職人の助手として働きながら見習いとして技能を習得し、通常1〜2年程度のキャリアを積めば熟練労働者として一人前になるケースが多いです。

その他の方法としては、専門教育機関(職業訓練校)で訓練を受け技能を身につけてから就職するパターンもあります。

工業系高校や専門学校で実践的な訓練を受けて関連資格を取得すると就職に有利になります。

韓国の左官の資格

韓国にも左官技能士の資格制度があります。

左官技能士

・1~3級など等級の分類はなく、左官技能士という資格のみ。
・資格取得に必要な年齢や学歴など制限はない。
・取得のための試験は筆記試験がなく実技試験のみ。
・一定レベルの技術を学ぶための職業訓練院(職業訓練学校)の左官技能工養成コース(3ヶ月または6ヶ月)がある。
・資格試験の受験費用は36,600ウォン(日本円で約3,200円)
・主催団体:韓国産業人力公団
・合格率は約60%

 

左官技能士の資格はあるものの金銭的メリットは少ないです。

これは職人としてのキャリアのスタートが実際の建設現場で見習いとして働きながら技術を取得し左官の仕事に就職するのが一般的なためです。

つまり叩き上げ社会のため資格を取得したからといって収入のアップはほとんど無いということです。

しかし、政府の政策として公共工事の入札に技能資格者を多く雇用した会社を優遇するなど資格者数の増加を図り技術力向上を狙っているため資格制度も見直されつつあります。

韓国の左官職人の年齢、学歴、賃金は?

左官職人の年齢、学歴、賃金についてまとめてみました。

男女別割合

就業割合

男性

95.5%

女性

4.5%

やはり男性割合が多いです。日本と同様、建築業界全体に言える3K(キツい、汚い、危険)であることが大きな要因として考えられます。

年齢別割合

就業割合

20代

0.6%

30代

5.7%

40代

19.0%

50代

46.7%

60代

28.0%

40~60代で93%と他業種に比べ高年齢層で構成されます。

韓国でも青年層の左官離れは進んでいて業界の課題となっています。

学歴別割合

就業割合

高卒以下

93.7%

専門大卒

3.6%

大卒

2.4%

大学院卒

0.3%

賃金格差(年収)

賃金/年(日本円)

下位

3054万ウォン(290万)

上位

3689万ウォン(350万)

平均

3358万ウォン(320万)

為替レート 100ウォン→9.51円にて計算

現在の韓国の物価はモノやサービスによって高い安い、の違いはあるものの日本とほとんど変わりません。

参考まで左官に必要なコテの値段。

例えば標準的な角コテ270㎜では、鉄製:8000ウォン(日本円で760円)、ステンレス製:10,000ウォン(950円)となっています。

それらを踏まえ高いか安いかは左官業に携わっている方であれば、ご自身と比較してみてください。

韓国の左官職人の数

就業人数

建設就業者数に占める割合

韓国

44,800人(2015年)

2.2%

日本

21,200人(2016年)

0.4%

韓国の左官職人は、44,800人と日本の左官職人の約2倍となっています。

2025年には44,000人とやや減少する見込みですが、日本の減少数に比べればほとんど減少しない状況です。

韓国におけるこれからの左官

韓国の建設受注状況

就業人数が多い韓国でも国内の新規建設は減少し仕事が減っています。

理由は100%を上回る住宅普及率、少子高齢化、景気低迷などによるものです。

2015年の好況期を過ぎ、2016年後半から下落に入り2017年以降下落を継続しています。

技術改革による左官の減少

韓国は技術開発による生産性の向上が左官職人の雇用に悪影響を与えてもいます。

部材をモジュール化して工場で事前製作するなど、人材と時間のかかる湿式工事(左官、防水、タイルなど)を減らす方向に技術が進歩していて、伝統的左官を必要としない建物が増加しています。

青年層減少が進む左官職人

建設職人の雇用市場は、不安定な雇用、肉体的な作業、労働災害の不安などにより青年層の新規参入が少なくなっています。

今は建設全体で高齢化が急速に進んでいて、人手が不足した仕事を外国人労働者や他業種からの労働者で補充しているのが実情です。

これが続くと賃金など労働条件の低下を招くことになり、ますます建築や左官への韓国人労働者の流入が無くなり、雇用を減少させる要因となってしまいます。

2020年以降の韓国建築業界

2020年以降、韓国建築は本格的な成熟段階(新築の頭打ち)に入ることが予想されます。

今後は既存建物の改修が成長するものとみられます。

また個人の生活水準の向上により、文化やレジャーの需要が増加し、様々な博物館、美術館、体験館などの文化施設、宿泊施設、レジャー施設などの建築需要は増加することが予想され建築業界としての見通しは悪くはないです。

まとめ韓国の左官と日本の左官

日本と韓国は文化や生活様式も似ていて、過去の関係性からも左官の仕事に大きな違いは感じられません。

しかし、こと左官技術において比較すると総じて日本の左官の技術力(仕上がりや丁寧さ)の方が韓国より数段高いのがわかります。

これは日本の建築技術の高さとも比例します。

逆に言うと、韓国は建築技術の不足を補うため今後も左官の仕事は需要があると言えます。

そこから見えることは日本の左官の良さとは、その高度な技術、キメ細かさが優れていて、他国にない売りになることです。

日本にいるだけでは感じることのできない、日本の高度な左官技術を活かしたモノ作りを行えば、きっと世界に通用する商品やサービスが生まれるのではないでしょうか。

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