コンクリートはその美観性と実用性から商業施設・公共スペース、住宅など様々な建築物に使われています。
近年では、コンクリートの美的な側面が再評価され、コンクリートの質感を建物全体のデザインに取り入れた建築物も多く見受けられます。コンクリートを塗料で塗装し保護することは一般的に行われていますが、「カラーコンクリート」のように、コンクリートの風合いをデザインに活かすため、クリア塗装や無機顔料により着色する方法もあります。
今回はカラーコンクリートについて解説します。
カラーコンクリートとは?
カラーコンクリートは、混練時に顔料を混ぜたり、コンクリート打設後カラークリアで塗装し、元々の質感を残して着色したコンクリートのことを指します。一方でコンクリートの塗装は一般的にコンクリートの保護を目的としていて、塗装後はコンクリートの質感が失われます。コンクリートはグレーのイメージを持たれる方も多いと思いますが、実際はホワイト~グレーの濃淡が複雑に入り混じった色です。これは白華現象と呼ばれる現象が影響しており、打設時の湿度や気温、水の量など、様々な要因がこの白華現象を引き起こし、複雑な色になります。
全く同じ環境でコンクリートを打設することはできないため、白華現象の発生具合に差異が生じ、同じ色を再現することはできません。カラーコンクリートはこの複雑な色や風合いを最大限生かした着色方法であり、一般的な塗装による均一な着色では表現できない、複雑なデザインが特徴です。
カラーコンクリートのメリット・デメリット
カラーコンクリートを検討するにあたって、そのメリットとデメリットが気になる方は多いのではないでしょうか?
メリット
カラーコンクリートはカラーバリエーションが豊富で、自由に色を選択できるため、通常のコンクリートよりもデザインの自由度が高まります。先に述べたように、コンクリートは一般的な塗料で塗装すると一面が均一な色になり、コンクリート独特の色むらや質感が失われてしまいます。一方で、カラーコンクリートはコンクリートの質感をそのままに着色できるので、高いデザイン性を発揮します。
デメリット
コンクリートの質感を活かせる反面、前述の通りコンクリートの色合いは打設時の環境によって異なります。事前にサンプルで色を確認していても、完全に同じ色を本施工で実現できない可能性もあります。
カラーコンクリートの種類と特徴について
カラーコンクリートには主に二つの種類があります。一つは生コンクリートの時点で顔料を混ぜる方法で、もう一つはコンクリート表面に色を塗る方法です。前者は生コンクリートに直接混ぜることで均一で持続的な色彩を実現します。後者は表面にステインやカラークリア塗料で塗装することにより、コンクリートを着色します。どちらも特徴があるので、予算や使用場所に合わせて選定することが重要です。
過去の記事で商品を紹介していますのでこちらもご確認ください。
生コンクリートに顔料を混ぜる
この方法には、現場打ちコンクリート、プレキャストコンクリート、舗装ブロック、カラーモルタルなどがありますが、ここでは、現場で型枠を組んで生コンを流し込む現場打ちコンクリートについて詳しく説明します。
①試験練り
まず初めに、少量のコンクリートと顔料を混ぜ合わせた試験練りを行い、色の確認を行います。本番に近い環境でサンプル作成を行わないと、色が大きく変わる可能性があるため、実際に使用するセメント、骨材を使用してサンプルを作成します。この試験練りを行うことで、実際の色合いがどのようになるのか事前に確認できます。
② 顔料の混合
本施工の際、生コンクリートと顔料をコンクリートミキサー車で混錬します。事前に試験練りで確認したコンクリートと顔料を使用し、少しずつ均等に混ぜていきます。
③ コンクリートを型に流し込む
ミキサー車で混ぜ合わせたカラーコンクリートを型枠に流し込みます。完全に固まるまでの日数は、その配合にもよりますが、基本的に通常の生コンクリートと変わりません。
④ 型枠の取り外しおよび仕上げ
所定の時間経過後に、型枠を取り外し仕上げていきます。仕上げ方法により、様々な意匠を表現することが出来ます。特にデザイン性の高い建築物には適した施工法です。
顔料を使用する際のメリット・デメリット
- メリット
- デメリット
表面を着色する
コンクリート表面にステインやカラークリアを塗装し、下地のコンクリートが透けて見えることで質感を維持しつつ着色します。塗装方法は商品によって多少異なりますが、通常の塗料と大差ありません。ここでは、一例としてコンクリートステイン塗料「ルーセントカラー®」の塗装方法をご紹介します。
①研磨・清掃
下地の吸い込みをよくするためにポリッシャー、サンドペーパーを使用し、施工面の脆弱部分の除去をします。
②下塗り
プライマーをウーローラー、刷毛または噴霧器を使って塗布します。
③上塗り(2回塗り)
下塗りが乾燥した後、トップコートを塗布します。1回目のトップコートが乾燥したのを確認後、2回目を塗布します。
コンクリートを打設し直すことなく、様々な色に着色することができます。
表面を着色する工法のメリット・デメリット
- メリット
- デメリット
カラーコンクリートのメンテナンス
カラーコンクリートのメンテナンスは比較的簡単で、定期的な清掃が基本です。汚れが付着した場合は、中性洗剤と柔らかいブラシを使って優しく洗い落とすことが推奨されます。
また、表面着色タイプにおいては、再度塗装しなおすことで簡単に補修できる場合があります。経年劣化で剥がれが発生した場合などは検討してみるのもよいでしょう。
カラーコンクリートの耐久性は製品の種類によって異なりますが、適切なメンテナンスを施すことでより長期に渡って美観を保つことが可能です。
まとめ
ここまで述べてきたようにカラーコンクリートはコンクリートを着色することで、幅広いデザイン性を持たせることができます。近年、コンクリート・モルタルのデザイン性が再評価されていることもあり、カラーコンクリートが使用されるケースが増えています。 コンクリートの見た目が好きだが、色が物足りないと感じている方は参考にしていただけると幸いです。
長年の経験を活かして開発されたヤブ原産業のカラーコンクリート
ヤブ原産業は、左官材等の建築仕上材メーカーです。設立から55年以上にわたり、モルタル・コンクリートに関する数多くのデータやノウハウを集積・分析してきました。「ルーセントカラー®」は長年の経験をもとに開発された水性コンクリートステイン塗料です。独自の特許技術でコンクリートを保護・強化し、コンクリートの質感を最大限活かして着色します。
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