左官屋さんにとっての必須アイテム”左官コテ”の種類や特徴をご紹介

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左官屋さんはコテを使ってモルタルを上手に塗ります。

一見簡単そうに塗れているのも実はその道具のコテのおかげでもあります。

プロ野球の名選手がバットの微妙な精度にこだわるように、左官屋さんもまたコテのわずかな違いにこだわります。

それほどプロフェッショナルな人にとって道具は結果の善し悪し左右する重要なモノなのです。

今回はそんな左官屋さんにとっての必須アイテム”左官コテ”を紹介します。

左官コテの種類

左官コテ(鏝)というと先の尖ったものが一般的です。

先が丸くなっているものや四角いもの、太いものや細いもの、さや長さの違い等、材質や仕上げ方によって適したコテも違います。

現在、左官コテの種類はおよそ350種といわれています。

左官職人はそんな数多くの種類がある左官コテの中から適材適所に使い分け使用しています。

荒塗り・中塗り用

 

鉄、ステンレス、プラスチック製の先の尖った形状のものが一般的で、主にコンクリートの均しや、漆喰や珪藻土、モルタル壁塗りで使用します。

中塗コテ

現在、中塗コテとして最も多く使われているのが半焼中塗(塗付け)コテです。

低温で焼き入れをした後、焼き戻しを一切行わずに成形して作られたコテです。

本焼中塗コテと比較して焼きが甘い分滑りにくく、平滑に塗りやすいといった特徴があります。

左官技能試験では五寸(150mm)~七寸(210mm)のコテを使用するのが定められています。

また、そのほかにも洗い出しに特化した人造コテというのもあります。

3.5mm肉厚材料から作り出す人造コテは、叩きや均し作業に適した重量を持ち合わせており、コテ肌には美しい紋様が浮び上がります。

木製コテ

木製のコテです。

もっとも古くから存在するコテの一つでもあります。

左官技能試験では六寸(180mm)~七寸(210mm)のコテを使用するのが定められています。

木製コテの代用品としてプラスチック製モルタルコテというものもあります。

木製コテと比較して摩擦性や耐久性に優れており、値段も安いことから愛用者が多いコテです。

仕上げ用

 

仕上コテ

押さえコテとも呼ばれ、磨きコテとしても使用されるコテです。

左官技能試験では七寸(210mm)のコテを使用するのが定められています。

オールステンレス製の鏡面ステン仕上コテはドロマイトプラスター、石膏プラスター等、
サビを嫌う塗り壁材料の仕上げに適しています。

プラスチックを板材にしたプラスチック仕上コテは軽く塗りやすいのが特徴的で、板厚によって用途が変わります。

漆喰・聚楽、繊維壁の仕上げに適しています。

角コテ

重量があり、主に押さえ仕上げのときに使用されるコテです。

油焼き角コテは硬度が本焼きより甘いため、しなりやすく弾力性があることからアマ出しが良く、モルタルの押えに適しています。

細工用・その他

 

ゴムコテ

ゴム製のコテです。

タイルの目地材込みに使用されるほか、傷つきやすい素材の時に使用します。

ブロックコテ

ブロックを積む作業に用いるコテです。

細長い三角形の形状は、ブロックの穴にモルタルを流し入れるのに適しています。

レンガコテ

レンガやブロックを積む作業に用いられるコテです。

モルタルを攪拌する・掬う・塗る・均す用途に使われます。

桃型やお福型(おたふく型)が一般的です。

富士引コテ

富士山を逆さまにしたような形状から名づけられた富士引コテは、漆喰壁等の散り際押えや細部の補修など、狭い場所の仕上げに最適なコテです。

さじコテ

内丸×柳刃、内丸×外丸等、違う形状のコテがそれぞれ両側にあるコテです。

装飾壁、漆喰彫刻、鏝絵等に用います。

切付コテ

切付け部分の仕上げに用いるコテです。

左官技能試験では四寸(120mm)のコテを使用するのが定められています。

柳刃コテ

柳の葉に似ている形状から名づけられた柳刃コテはコテ首がコテの根元についているため、細かい作業や、手の届きにくいところの作業に適しているコテです。

左官技能試験では三寸半(105mm)~四寸(120 mm)のコテを使用するのが定められています。

丸繰コテ

壁と床・壁と天井の接合部のアール仕上げに用いられるコテです。

左官技能試験では四寸(120mm)のコテを使用するのが定められています。

まとめ

左官コテといえば、四角いタイプ、先のとがったタイプを思い浮かべます。

しかしいざ調べてみると「こんなコテ、使う機会があるか?」と思うようなコテもあります。

昔から職人ワザとよく言いますが、そのワザの一端は多くの種類の左官コテが担っているのだと実感しました。

左官の完成品や、材料に目が行きがちですがコテに限らず道具をじっくり観察するのも楽しいです。

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