構造物の性能を確保するうえで重要な要素となるのが、その材料となるコンクリートの「配合」です。
「配合」とは、コンクリートを構成する各材料の使用量や割合などを指していいます。
使用する場所や用途、また季節によっても必要とする品質は異なりますが、その品質に影響を与える要素が「配合」です。
そこで今回は、コンクリートの「配合」とはなんなのか、そして発注後に必ずチェックしておきたいポイントについて徹底解説したいと思います。
コンクリートの配合とはなに?
コンクリートを構成する材料は、大きく以下の4種類になります。
・セメント
・水
・骨材
・混和剤
これら各材料の使用する量や割合などを示したものが「配合」です。
また「配合」は、必要な性能を確保しながら、施工性についても考慮して設計を行うことが求められます。
工事で使用されるのは「生コン」
実際の工事では、やわらかい状態で納入したものを型枠などに流し込んで硬化させます。
このやわらかい状態を「生コン(生コンクリート)」といい、工場で製造されたものを施工現場へ運んで使用されることが一般的です。
生コンを発注するときは配合を指定
生コンを発注するときには、必ず配合を指定しなくてはなりません。
しかし、指定するのは構成する各材料の割合についてではなく、おもに以下の組み合わせとなります。
・呼び強度
・スランプ
・粗骨材の最大寸法
・セメントの種類
呼び強度
呼び強度は、打設28日後に得られる圧縮強度のことです。
強度値は18~60で、単位はN/mm2(ニュートン)となります。
スランプ
スランプは、生コンのやわらかさを表す指標で、単位はcmです。
数値が大きいほどやわらかく、流動性は高くなります。
粗骨材の最大寸法
生コンに使われている粗骨材の最大寸法のことで、単位はmmです。
構造物の部材の厚さや鉄筋のあき、かぶり厚さなどを考慮し、容易に通過して隅々まで充填できる寸法で決定します。
セメントの種類
セメントにはいくつかの種類があり、それぞれ性質が異なります。
種類ごとに記号で表されますが、代表的なものは以下の通りです。
- 普通ポルトランドセメント:N
- 早強ポルトランドセメント:H
- 高炉セメントB種:BB
コンクリートの配合で発注後にチェックするべきポイント
建設工事におけるコンクリートの配合は、構造物に必要となる性能を適切に計算することで決定されます。
そして、その設計をもとに生コン工場へ発注し、施工当日に適切なタイミングで搬入してもらえるよう打ち合わせを行います。
また、購入者は、搬入前に生コン工場から「配合計画書」を取り寄せ、要求通りのものが納入されることを事前に確認することが重要です。
「配合計画書」とは、生コンを構成する材料の詳細など、品質を決定するうえで必要な情報をまとめて記載したものになります。
この内容が間違っていると、施工後に期待する品質が得られない可能性があるため、必ず確認しなくてはなりません。
ちなみに書式は、日本産業規格(JIS)によって定められているため、全国共通です。
「配合計画書」の内容について、とくにチェックしておきたいポイントを以下にご紹介いたします。
呼び方
呼び方には、「コンクリートの種類」「呼び強度」「スランプ又はスランプフロー」「粗骨材の最大寸法」「セメントの種類」について、数値や記号がそれぞれ記載されています。
これらのうち「コンクリートの種類」は、大きく以下の4種類となります。
・普通
・軽量
・舗装
・高強度
これらの内容について、発注通りであることを確認します。
指定事項
指定事項には、水セメント比の上限値や単位水量、空気量など多くの記載事項があり、値について生コン工場と協議して決定します。
また、指定事項には、必ず指定しなくてはならない「必須事項」とそうではない「任意事項」があります。
必ず指定しなくてはならない「必須事項」とは、以下の4点です。
・セメントの種類
・骨材の種類
・粗骨材の最大寸法
・アルカリシリカ反応抑制対策の方法
また「任意事項」には、水セメント比と空気量の項目がありますが、これらは耐久性に影響を与えることがある内容となります。
乾燥収縮を抑えるには水セメント比を低くすること、そして凍結融解対策には空気量を確保することで、それぞれ効果を発揮します。
空気量は、指定がなければ通常4.5%です。
これらの内容について、発注通りであることを確認します。
適用期間
適用期間は、記載されている配合が適用される期間になります。
これは、平均気温などを根拠に設定されている期間が記載されますが、使用する生コンの配合とその時期が適切であることを確認します。
まとめ
コンクリートの配合は、構造物に必要とされる品質を得るうえで確認しなくてはならない要素であり、一方、製造する生コン工場にとっては設計図のようなものでもあります。
また、購入者は、実際に施工現場に搬入される生コンが、注文通りの品質を確保できているか確認することもポイントとなります。
例えば、施工当日に受け入れ検査を行い、発注通りの品質を得られなければ受け取らないという選択も可能です。
しかし、材料の品質を確保するだけでは十分とはいえません。
そのうえで適切な施工が行われることが、十分な性能を有する構造物をつくることにつながるのです。