コンクリートは長年の使用や気候の変化などにより、ひび割れ(クラック)が生じることがあります。
建築業界では一般的に構造上影響を及ぼす可能性のある構造クラック、細かなひび割れで構造上問題がないと考えられるヘアークラックに分けられます。
「構造クラック」はその性質上、適切な処置を行う必要があります。一方で「ヘアークラック」は直ちに構造上の問題に繋がりにくいため、補修の優先度は低いです。
ヘアークラックの優先度が低いといっても、コンクリートに出来たひび割れを放置しておくのは景観的にも気になるところだと思います。
今回は、コンクリートに出来たひび割れの原因や影響について説明します。
コンクリートに出来るひび割れについて
同じひび割れでも「構造クラック」と「ヘアークラック」は発生する経緯が異なります。経緯が違うため、発生後の影響や補修方法なども異なります。ここでは、それぞれのひび割れが出来る原因とコンクリートに与える影響について説明します。
構造クラックが出来る原因と影響
構造クラックが出来る原因
構造クラックは主に0.3mm幅以上の明らかに目視できるひび割れを指します。構造クラックは外部からの圧力や荷重で発生します。地震の後などにひび割れが発生していたら、構造クラックの可能性が高いです。また、設計上の問題や施工の不備などでも発生しますので、放置しておくと重篤な問題に繋がることがあります。
構造クラックの影響
構造クラックは建物の耐久性の低下など、建物の安全性に影響を与える可能性があります。
ヘアークラックが出来る原因と影響
ヘアークラックが出来る原因
ヘアークラックはひび割れの中でも0.3mm幅未満の細かなひび割れを指します。温度変化や乾燥と湿潤を繰り返すことにより、コンクリートが膨張と収縮を繰り返し、ヘアークラックが発生します。また、コンクリートやモルタルは施工時の乾燥により収縮してクラックが発生する場合もあります。
ヘアークラックの影響
ヘアークラックは構造上の安定性にほとんど影響の無いひび割れですが、長年放置しておくと、ひび割れから水が入りコンクリートの劣化を早めてしまうことがあります。そのため、建築現場ではセメントフィラー材の擦り込みやエポキシ樹脂の注入等の方法で補修が行われています。
ひび割れを見つけた時は
ヘアークラックは直ちに構造体に影響を与えるわけではないため、慌てず経過観察しましょう。もし、短期間でひび割れが広がったり、増えたりする場合は構造クラックの可能性があるので、専門業者に相談することを検討しましょう。
※補修方法を詳しく知りたい方は下記の記事をご確認ください。
コンクリートのひび割れを補修する時は
とは言え、ひび割れを放置しておくのは見た目も悪いですし、コンクリートに良い影響は無いので補修したいですよね。コンクリートのクラック補修材は種類が多く、プロ向けの補修材から誰でも簡単に使用できるものまで様々です。ここでは、誰でも簡単にひび割れ補修ができる、おすすめの補修材をご紹介致します。
床用
土間コンクリートのひび割れを簡単に補修したいと考えている方には
「クラックイレイザー」
がおすすめです!
クラックイレイザーはカチオン性粉末樹脂を配合で高強度・高耐久・高接着を実現。混ぜる→流し込む→削るだけの簡単施工で、0.2~2.0㎜幅程度の床のひび割れに対応します。
壁用
壁面のひび割れには住友大阪セメント㈱の「安心補修スティック」という製品があります。
ひび割れの自己治癒成分を配合したセメント系原料をスティックタイプにした商品です。主に壁面に実績が多数ある商品です。工程は、水湿し→製品擦り込み→押し込み→硬化養生の簡単施工です。
まとめ
コンクリートは正常に施工されていても、経年劣化など様々な要因でひび割れが発生することがあります。発生したひび割れがどのようなひび割れなのか見極めることが重要です。
構造クラックは専門家に適切な処置をしてもらうことが必要ですが、ヘアークラックであれば必ず処置しなければいけないわけではありません。しかし、ヘアークラックは建物の強度に大きな影響は与えないですが、見栄えは悪くなってしまいます。必要に応じて、簡単に補修できる補修材を活用し、自身で補修を行うことでキレイな見た目を維持することも検討しましょう。