構造クラックとヘアークラックの違いは?専門家オススメ補修材6選!

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コンクリートは、建築やインフラの基盤を支える重要な材料です。しかし、長年の使用や気候の変化などにより、コンクリートにはひび割れ(クラック)が生じることがあります。これらのひび割れ(クラック)は、見た目だけでなく、構造の安定性や耐久性にも影響を及ぼす可能性があり、ひび割れ(クラック)の種類に適した補修が推奨されます。この記事では、コンクリートのひび割れに関する基本的な知識を提供し、構造クラックとヘアークラックの違いを説明します。さらに、効果的な補修方法についても詳しく解説します。

構造クラックとヘアークラックの定義

ひび割れは建築業界では、主に構造クラックとヘアークラックに分けられます。これらについて明確な定義はありませんが、建築業界内での認識としてある程度の線引きがあります。(「幅〇㎜以上、深さ〇㎜以上は、構造クラックでそれ未満はヘアークラック」と国土交通省(以下国交省)が定めていると説明しているサイトがありますが、国交省は指針や仕様書でクラックの定義を明確にしていません。)

構造クラックとヘアークラックの違い

構造クラック

構造クラックは明らかに目視できる幅のひび割れで、深刻なひび割れを指します。主に0.3mm幅以上のひび割れを指し、これらのひび割れは建物の安定性や耐久性に大きな懸念を引き起こす可能性があります。構造クラックの主な特徴として以下の点が挙げられます。

〇発生原因
・圧力、荷重、地震などの外部の力
・設計上の問題や施工の不備

〇影響
構造クラックは建物の安全性に直接影響を及ぼす可能性があります。耐久性の低下や部材の劣化、さらには建物全体の安定性に関わる重大な問題を引き起こすことがあります。

ヘアークラック

ヘアークラックは、細かなひび割れで、主に0.3mm幅未満のひび割れを指します。髪の毛のように細く見えることからヘアークラックと呼ばれています。ヘアークラックの主な特徴として以下の点が挙げられます。

〇発生原因
・主に温度変化や乾燥などの環境要因

〇影響
ヘアークラックは一般的にコンクリート表面の美観に影響を与えることがありますが、構造上の安定性にはほとんど影響を及ぼしません。そのため補修はしなくても良いと言われる場合もありますが、建築現場では、セメントフィラー材の擦り込みやエポキシ樹脂の注入等の方法で補修しています。

各ひび割れの補修方法

構造クラック

エポキシ樹脂注入工法

最も多い補修方法は、エポキシ樹脂注入工法です。一般的にエポキシ樹脂は、硬化するとコンクリートの圧縮強度の約2.5倍、引張強度で約10倍を示すことから建築業界では昔から使用されています。 コンクリートのひび割れに対するエポキシ樹脂注入工法で、最もポピュラーなものは自動式低圧注入工法です。これは国交省の改修工事仕様書でも推奨されている工法です。(対象は外壁)

〇専門家おすすめの構造クラック補修材

コニシ株式会社 『E-208S』等

接着剤メーカーの最大手であり、最もエポキシ注入の材料としては恐らく最もポピュラーな商品です。
JIS A6024(建築補修用注入エポキシ樹脂)硬質高粘度系適合品です。
用途はモルタル、タイルの浮き注入補修。アンカーピンの固定。コンクリート構造物などのひび割れ補修です。

アサヒボンド工業株式会社 『576』等

JIS A6024(建築補修用注入エポキシ樹脂)硬質高粘度系適合品です。
モルタル・タイル・石材等の浮き補修や、コンクリートのひび割れ補修等、揺変性を活かした注入・充填接着に最適です。

商品紹介

ヤブ原産業㈱ 『SSSボンド』

上記メーカーの丸缶タイプと違い、左官業者や塗装業者等、専門の業者様でなくとも注入工事が簡単に行えるように主剤と硬化剤を予めセットした商品です。1981年発売の商品であり他に例を見ない商品です。 足場を使用せずに外壁の注入工事を行う業者は、施工勝手が良いとの理由でSSSボンドを使用してくれる業者が結構いらっしゃいます。

モルタルの浮きを撤去せず補修するにはSSSボンドで注入。左官屋さんでも簡単です

ヘアークラック

国交省ではひび割れ幅0.1㎜で挙動が無い場合は、パテ状エポキシの施工を推奨しています。(対象は外壁)エポキシ系の材料は高強度ですが、価格は高いです。低予算に抑えたい場合は、エポキシパテの代用としてセメント系補修材の擦り込みを行うこともあります。

〇専門家おすすめのヘアークラック補修材

住友大阪セメント㈱ 『安心補修スティック』

ひび割れの自己治癒成分を配合したセメント系原料をチョークタイプにした商品です。実績が多数ある商品です。

㈱コニシ 『ボンドE-390』

土木建築用エポキシ樹脂でヘラしごき、厚付け可能パテ材です。

ヤブ原産業㈱ 『クラックイレイザー』

対象が床面になりますが、専用の簡易的セメント系クラック補修材です。カチオン性粉末樹脂配合ですので、高強度・高耐久・高接着を実現します。製品を混ぜる→水湿し→→流し込む→削る工程の簡単施工です。

まとめ

構造クラックとヘアークラックを見分ける際は、単純にひび割れの幅だけで判断するのではなく、原因を調査・考察することが重要です。その上で適切な補修方法を選択することがポイントです。正しくひび割れを補修することで、建物の長寿命化が可能になるでしょう。

【参考文献】
1) 建築改修工事監理指針(上巻/下巻) 一般財団法人建築保全センター
2) 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編) 国土交通省

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