前回2回に渡り、塗床についての記事を作成しました。
今回はそれに関連して塗床とは対極にある、いわゆる乾式建材である塩ビ系床材についての種類や特長を解説します。
塩ビ系床材は、フローリングと同様目にする頻度が多い床材に思われます。
住宅はもちろんのことコストが安い分、店舗やオフィス、病院や公共施設など施工面積が大きい建築物に施工することが多い印象です。
今号では塩ビ系床材の種類や特長を解説します。
そもそも塩ビとは?
塩ビとは、塩化ビニルと呼ばれている俗称であり、塩ビといえば一般的には、「ポリ塩化ビニル」あるいは「塩化ビニル樹脂」のことを言います。
塩化ビニルは1930年代にドイツで誕生し、日本では1940年代に初めて工業化されました。五大汎用樹脂に分類される材料です。
性能はそれ程高くないものの、安価で生産量が多いという特長があります。
塩化ビニルの特性とは?
・耐久性、耐酸性、耐アルカリ性、耐水性が高い
・電気を通しにくい
・着色や柄のプリントがしやすい
・耐熱性が低い…耐熱温度は60~80℃、融点は85~210℃程度
・耐衝撃性が低い…他の五大汎用樹脂と比べて耐衝撃性に乏しい
・加工性が高い
・コストが安い
建築業界で使用される塩化ビニルとは?
下記の通り多岐に渡ります。
サッシ、サイディング、タイルカーペット、床材(長尺シート、Pタイル、クッションフロア等)、塩ビ鋼板、壁紙・化粧フィルム、軟質フィルム・シート、ビニルレザー、パイプ、波板、雨樋、電線、異形押出製品等があります。
塩化ビニルは、可塑剤や各種の添加剤等と配合するによって、柔軟性や耐衝撃性、耐汚染性等、使用時の要求性能を幅広く調整することが可能な樹脂素材です。
代表的な塩化ビニル系床材
細かく分けると多岐に渡りますが、大別すると以下の通りです。
・長尺シート
・クッションフロア
・Pタイル
長尺シート
設置費用が高くなく、メンテナンスがしやすく維持管理コストも少なくて済みます。
以前から、店舗・病院・ホテル・公共施設等、不特定多数の人が往来する場所で頻繁に使われてきました。
表面は硬くクッション性がないため、衝撃に強く傷がつきにくいのが特長です。
重歩行や台車なども通過する店舗や事務所に適した素材です。下足用防滑性シートとしては『タキロン』が有名です。
クッションフロア
クッション性のあるシート状床材です。
施工が簡単で機能面にも優れ、カラーや柄のバリエーションも豊富です。
厚さは1.8mm~3.5mm程度で、建築業界ではCFと呼ばれます。
前述の長尺シートでもクッションが付いているものがあるので明確な違いはありませんが、端的に表現すると住宅の内履き用がクッションフロアで、店舗や公共施設等の下足用が長尺シートとして区別されることが多いです。
Pタイル
「塩ビタイル」や「ビニル床タイル」などと呼ばれています。色やデザインのバリエーションが豊富で、貼り方のコツさえつかめばDIYでの施工も可能なので、賃貸住宅や模様替えとしても人気があります。
塩化ビニル樹脂を配合した硬質の床材です。
強くて丈夫なのでオフィスや店舗、学校など土足の場所に使用されています。
特に30cm×30cm角のタイル状に加工したものがPタイルと呼ばれます。
メーカーとしては㈱タジマが有名です。
塩化ビニル系床材のメンテナンス
塩化ビニル系床材を綺麗に保つ手段の一つにワックス掛けがあります。定期的にワックスをかけることにより、綺麗な状態を維持できます。フローリングや石もワックスをかけることが多いですが、そのメリットは、①床材を保護する、②見た目を綺麗にすることが挙げられます。
但し、ワックスを塗る前には掃除&洗浄が大事です。
最初に掃除機やホウキ等でゴミや埃を撤去します。更に洗浄が必要ですが、その際には弊社の『塗り床汚れイッキ落ち』が効果的です。
特殊洗浄剤と界面活性剤の力で、しつこい汚れも落とす即効性の洗浄剤です。
高圧水洗浄剤と同等の洗浄力があるので、高圧水洗浄がやりづらい場所ではもってこいの製品です。
まとめ
塩ビ系床材は低価格でありながら、着色や柄のプリントがしやすいため、石や木等の表情を鮮やかに且つ本物同等に再現できる床材です。
乾式工法のため施工も簡単で、施工業者のみならず一般の方でも施工できる製品です。
そのため、建築分野において施工される床材の面積としては、恐らく毎年最上位を争う部材かもしれません。
一見、塩ビ系素材は合成樹脂のため環境には優しくないようにも思われますが、塩ビ素材は他の汎用プラスチックに比べてリサイクル率が高い素材です。既にメーカーでは、リサイクル材でレギュラー製品を製造している所もあるくらいなので、環境に配慮した製品と言えるでしょう。