床面のタイル仕上げや石材仕上げなどの工事を行うとき、下地づくりに欠かせないのは「バサモルタル」です。
しかし、具体的に「バサモルタル」とはどういうものなのかよくわからない人も多いのではないでしょうか?
また、一般的によく使われるモルタルとはどう違うのでしょうか?
そこで今回は、「バサモルタル」とは具体的にどのようなものなのか、またどのようにしてつくるのかなど徹底解説したいと思います。
バサモルタルとはなに?
バサモルタルとは、水を少なく配合したモルタルのことをいい、「バサモル」や「バサバサモルタル」と呼ばれることもあります。
そもそもモルタルとは、セメントに砂と水を加え練り混ぜたものをいい、モルタルといえば「セメントモルタル」のことを指していうことが一般的です。
そしてバサモルタルは、通常のモルタルよりも水を減らし「バサバサ」した状態で使用することから、このように呼ばれるようになったといわれています。
ちなみにセメントに砂のみ混ぜ合わせたものは「空練りモルタル」、セメントに水のみ混ぜ合わせたものを「セメントペースト」といいます。
通常のモルタルとの違いとは
バサモルタルと通常のモルタルとの最大の違いは、水分比率です。
バサモルタルは、手で握ったときにある程度の形が残るくらいの硬さがおもな目安となります。
床面でタイル仕上げをする場合は、その下地に通常のモルタルではなくバサモルタルを使うことが一般的です。
これは、通常のモルタルの特徴でもある比較的ひび割れが生じやすいという点が理由のひとつとなります。
タイル仕上げの下地がひび割れると、その影響を受けて表面に現れるケースが多くあり、この症状を防ぐ意味でバサモルタルが使われているわけです。
モルタルのひび割れはさまざまな原因で生じますが、水分比率が高いということもそのひとつとなります。
モルタルは水分が多いため、硬化する過程で乾燥とともに収縮が起こり、表面にひび割れが生じやすくなります。
一方、バサモルタルは、水分比率を低く配合していることから、ひび割れが起こりにくい安定した下地をつくれます。
バサモルタルは高い水平精度が出せる
バサモルタルは、高い水平精度が比較的簡単に出せることも特徴となります。
下地に凹凸があると、仕上げ材の裏側に隙間が生じるため、とくにタイルなど薄い材料は歩行したり重量の大きなものを置いたりすると、割れの原因となります。
バサモルタルで水平精度の高い下地をつくることで、仕上げの施工がしやすくなり、完成品質の向上にも寄与するのです。
バサモルタルのつくり方
バサモルタルのつくり方は、配合が重要です。
一般的にセメント1:砂3~5の割合とし、水を少なくしてバサバサとした状態にします。
水の量の目安は、少しずつ加水して練り混ぜ、手で握ったときに団子状の形に残る程度の硬さになるよう調節します。
おもな施工手順
床タイル仕上げの場合であれば、通常はコンクリート下地に施工することが多くなります。
コンクリート下地は、仕上げの高さから仕上げ材と下地(バサモルタル)の厚さ分だけ低く、荒打ちでつくられます。
施工前には、コンクリート表面にレイタンスなど脆弱な部分が生じているか確認し、必要に応じて取り除くなど下地処理をすることも重要です。
その後、コンクリート下地の上にバサモルタルを敷き、定規などを使って水平に均します。
そして、バサモルタルが未硬化の状態であれば、その上にセメントペーストを流し込み、仕上げ材を張り付けることが一般的です。
バサモルタルの硬化が進んでいる場合は、セメントペーストではなく既調合の張り付け用モルタルを使用して施工するケースもあります。
最後に目地材を充填すると完成です。
ドライアウト現象に注意
コンクリート下地の上にバサモルタルを施工する際は、ドライアウト現象が起こらないようにすることも重要です。
ドライアウト現象とは、セメントの硬化不良による不具合のことをいいます。
既存のコンクリートにモルタルを施工すると、モルタルの水分が既存のコンクリートに吸収され水和反応が阻害されて正常な凝結ができなくなります。
その結果、接着不良が起こり浮きなどの症状につながるわけです。
なお、水和反応とは、セメントと水が化学反応を起こし硬化することをいいます。
またドライアウト現象を防止する方法には、モルタル施工前にコンクリート下地へ散水することや、「モルタル接着増強剤」を塗布することなどが挙げられます。
まとめ
バサモルタルは、おもに床面のタイル仕上げや石材仕上げを行うとき、きわめて精度が高く安定した下地づくりができる材料です。
通常のモルタルも汎用性が高く優れた材料ですが、ひび割れが生じやすい点では注意が必要となります。
下地づくりは仕上がり品質を左右する重要な工程であるため、その重要性を無視して施工を進めると、完成した後にさまざまな問題が発生する可能性が高くなります。
つまり、下地工事はとくに注力して取り組むことが重要なのです。