築年数が経っている建物は、タイルの一部分が剥落していることがありますよね。タイルが剥落してしまう原因には、以下の4つが考えられます。
- 地震や暴風雨などの自然災害
- 建物の経年劣化
- 施工不良
- 鉄筋のかぶり厚さ不足
今回は、鉄筋のかぶり厚さ不足によるタイルの剥落について詳しく説明します。
鉄筋のかぶり厚さ不足によって起こるタイルの剥落について
タイルが剥落してしまう原因の一つに「鉄筋のかぶり厚さ不足」が挙げられます。かぶり厚さについての詳しい記事はこちらをご覧ください。
内部鉄筋とコンクリートの表面までの最短距離(かぶり厚さ)が十分に確保できていない場合、コンクリートが中性化してしまいます。
コンクリートの中性化が進むと酸素と水分を内部に溜め込み、内部鉄筋が腐食します。鉄筋は錆びると体積が膨張するという性質があるため、コンクリートと躯体を押し上げ、表面にヒビ割れを起こしてしまうのです。
ヒビ割れを放置しておくと、そこからさらに雨水や水分が入り込んで腐食と膨張が進み、タイルを押し出します。そして、押し出されたタイルが剥がれ落ちてしまうのです。
鉄筋の腐食によるコンクリートの剥落については、こちらの記事で詳しく説明しています。
では、タイルの剥落を防ぐためには、どのような対策をすればいいのでしょうか。次で説明します。
タイルの剥落を対策するために行うこと
タイルの剥落を防ぐためには、ヒビ割れ部分を見つけたらすぐに補修することが大切です。ヒビ割れ部分にエポキシ樹脂を注入し、接着固定することによって雨水や水分の侵入を防ぎます。
すでにタイルが欠損してしまっている場合は、初めに欠損している部分の下地を清掃します。清掃したら、ポリマーセメントやエポキシ樹脂モルタルを使って欠損部分を充填。最後にタイルを張り直します。
タイルの表面には変化が見られなくても、築年数が経っているときにはタイル表面に「浸透性撥水剤」の塗布を行ってください。タイルの目地部分が10年程度は防水されるので、目地からの雨水の侵入を防ぎます。
築年数が経っている建物はタイルの剥落に要注意
タイルの剥落はコンクリートと鉄筋の「かぶり厚さ不足」によっても起こることをお伝えしました。昭和40〜50年ごろ、鉄筋コンクリート造が建てられ始めた時期に建てられた建物は、とくに注意が必要です。
現在はコンクリートと鉄筋にに必要なかぶり厚さは、「建築基準法」によって厳しく定めれているので「30年程度は腐食しない」と言われています。
築年数の経っている建物は、タイルにヒビ割れがないか、欠損は見られないか。など、小まめなチェックと補修が必要です。