高速道路等で車を運転していると、前方の車が通行して水しぶきが上がると前が見にくくて、危険で煩わしさを感じる方は多いと思います。
道路の区間によって水しぶきが上がらない箇所の多くは、透水性アスファルト舗装(開粒アスファルト舗装)です。
透水性アスファルト舗装は読んで字のごとく、雨を透水させることで表面に水が溜まりにくい構造ですが、コンクリートにおいても透水性のものがあります。
今号では、昨今改めて注目を集めている透水性コンクリート(ポーラスコンクリート)について特長や商品を紹介していきます。
透水性コンクリートとは?
一般的に普通コンクリートは水を通しません。普通コンクリートの構成は、①砂利(粗骨材) ②砂(細骨材) ③セメント ④水です。
大半は砂利と砂であり、その隙間を埋めているのはセメントペースト(セメントと水)のため、空隙が無くなり水を通さないのです。
対する透水性コンクリートの構造は、砂(細骨材)を使用しないので砂利同士の空隙が多くなることで水を通しやすくなるのです。
砂(細骨材)が混入されない分、強度と砂利同士の結合力が低いので、通常はそれを担保するため結合材が使用されます。
透水性コンクリートの用途
公園、歩道、広場、戸建ての駐車場、アプローチ、犬走り等。
透水性コンクリートの特長
集中豪雨対策(排水性)
集中豪雨や長時間の降雨の際に、雨水がコンリート中を通して地面に浸透して河川や側溝に直接流れないため、それがあふれて害になりにくいです。
ヒートアイランド対策(保水性)
気温が高い日は地面の水分が常に蒸発するので、気温の上昇を和らげる効果があります。
透水コンクリートの空隙に水を貯えることができるので、打ち水と同じ程度の効果があります。
防滑性
表面が砂利状で凹凸があるので、降雨の際に滑りにくいです。
防眩性
平滑に仕上げた普通コンクリートは白く仕上がりがちで、日光が当たると一定方向に反射する傾向であるが、透水コンクリートは表面が砂利状なので、一定方向に反射しづらいので眩しくないです。
透水性コンクリートのデメリット
目詰まりしやすい
構造上空隙が多いのでゴミや土・砂や埃等が詰まる可能性が高いです。
定期的に掃除をして目詰まりするのを予防しないと、最大の売りである透水性の機能が損なわれる恐れがあります。
高価格
製品によりますが、普通コンクリートと比較すると2倍以上するものが多いようです。
意匠に対する好みが分かれやすい
表面が砂利状で凹凸があり、フラットでないので人によっては綺麗と思わない方がいます。
ツルツルとした平滑な床をお好みの方については、敬遠される仕上がりだと思います。
透水性コンクリート製品のご紹介
『パーミアコン』 株式会社 佐藤渡辺(旧佐藤道路)
透水コンクリートの代名詞的&草分け的商品パーミアコンです。
材料の厳選はもちろんのこと、施工から完成、メンテナンスまでのトータル管理と優れた技術で、高品質の舗装環境を作り上げています。
http://パーミアコン | 佐藤渡辺 (watanabesato.co.jp)
『ドライテック』 株式会社 フッコー
昨今、改めて透水コンクリートが注目されるきっかけとなった商品です。
フッコー様の代表的商品と言えば壁面仕上げ材の『マジックコート』でしたが、今ではドライテックもそれに肩を並べる形になった感があります。
2020年グッドデザイン賞を受賞した話題の商品です。
http://透水性舗装材「DRYTECH/ドライテック ®」 | ECO製品 (fukko-japan.com)
『エコロジーコンペイブ』 炭平コーポレーション 株式会社
創業約400年を誇り、長野県を中心に8支店を構える老舗建材商社様です。
永きに渡り建築業界に多大な貢献をしてきた企業です。
http://エコロジーコンペイブ|炭平コーポレーション (sumihei.co.jp)
参考)透水コンクリートではありません。『彩アストン』ヤブ原産業㈱ 透水性天然石樹脂舗装材のご紹介
透水コンクリートと透水性天然石樹脂舗装材は似て非なるものです。
後者は合成樹脂を用いて天然石を固めて敷き並べるので、煌びやかな印象を持たれる床材です。天然石の種類は数多あるので、建物や風景を考慮してお選び頂けます。
一方でその構造上故、透水性天然石樹脂舗装材の強度は低いというイメージがありましたが、そのイメージを覆した商品が彩アストンです。
彩アストンは特許工法により、汎用の天然石樹脂舗装材の強度の1.5倍、耐剥離摩耗性5倍を実現した商品です。
http://彩アストン | 天然石景観材 彩シリーズ | 建築仕上材のヤブ原産業株式会社 (yabuhara-ind.co.jp)
まとめ
昨今、見受けられる集中豪雨や台風による河川の氾濫、道路の冠水があります。
併せて、都市部におけるヒートアイランド現象は 住民の健康や生活、自然環境への悪影響をもたらします。透水コンクリートの特性である排水性・保水性・通気性は、これらの環境負荷の低減に寄与できる商品だと思います。
世界的に環境問題が騒がれて久しいですが、環境に配慮した建築材料を開発・販売することのみならず、職人不足や工事の効率化にも貢献していく企業にならなくてはいけないと感じています。