漆喰(しっくい)はどんな素材?内装仕上げに漆喰を使う時の注意点

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漆喰(しっくい)で仕上げた壁は見た目も美しく、日本や西洋でも昔から親しまれてきました。

機能性もある、多彩な左官仕上げの代表とも言える漆喰は、どのような特徴があるかご存知でしょうか。

今回は漆喰について詳しく解説していきます。

漆喰はどんな素材?

漆喰は”消石灰”を主原料にした塗壁材です。消石灰に糊(のり)やスサを加えてつなぎにし、さらに水を加えて練った状態のものを漆喰と呼びます。

漆喰の主原料である消石灰は”水酸化カルシウム”とも呼ばれ、石灰石を焼き、水を加えて作られます。

消石灰は平成19年ごろまでは運動場の白線を引く粉として使われていました。

しかし目に入ると視力に影響する恐れがあることから、現在では炭酸カルシウムや石膏などが使用されるようになりました。

 城の外壁や内装にも使用されてきた昔からなじみのある素材

漆喰は約1,300年前から城や屋敷の外壁や内装に使用され、兵庫の姫路城などが漆喰を使用した城として有名です。

また、書物などの紙類をしまっておく部屋の壁にも、調湿材として漆喰が使用されてきました。

一言で漆喰といっても、地域によって作り方や呼び方が違います。

昔から城や屋敷に使われてきた漆喰は”本漆喰”と呼ばれ、消石灰に麻や海藻のり、水を混ぜて作られていました。

沖縄(琉球)では生石灰と藁(わら)、水を練り合わせたものを”ムチ漆喰”と呼び、瓦屋根の瓦止めとして現在でも使用されています。

海外では約5千年も前から使用されていた

日本では約1,300年前から使用され始めた漆喰ですが、海外ではなんと5千年も前から使用されていました。

漆喰は、エジプトのピラミッドの壁に使用されたのが起源だと言われています。

他にも、中国の万里の長城やヨーロッパのローマ時代にも漆喰が使用されていた痕跡が残っています。

ヨーロッパでは昔から現在に至るまでの長い間、内外壁の素材に漆喰が使われてきました。

私たちがイメージしているヨーロッパの建物の外観は、ほとんど漆喰だといっても間違いないでしょう。

 漆喰の特徴について

古くから愛されてきた漆喰ですが、どのような特徴があるのでしょうか。

漆喰の特徴は勘違いされていることも見受けられるので、ここでは漆喰の特徴について詳しく解説します。

 抗菌効果がある

漆喰の主材料である消石灰は、強アルカリ性で抗菌効果があります。

消石灰の表面には無数の穴があいており、その穴から細菌やウイルスを吸収し増殖を抑制しています。

抗菌効果が高い消石灰は防カビや消毒目的でも使われることが多く、大雨により床下浸水した場合、床下の殺菌にも使用されました。

他にも、養鶏場で鳥インフルエンザが発生した際にも、消石灰を使用して殺菌を行います。

ニュース番組で見かける、防護服を着た作業員が撒き散らしているものが消石灰です。

既調合漆喰は不燃材料なので防火性が優れている

消石灰を主原料とし、

・糊
・繊維
・無機質骨材
・有機添加剤

 

などを調合して製造した既調合漆喰は、”不燃材料”として国土交通省から認定されています。

不燃材料とは、通常の火災による火熱では加熱後20分間は燃えない素材のことです。

燃えにくいことから、漆喰を住宅に使用する場合には、木造の住宅と比べて火災保険が安くなることもあります。

 JIS規格に基づくと漆喰には調湿性能があるとは言えない

昔から漆喰は書物を管理する部屋に使用されるなど、調湿性能があると思われてきました。

しかし、JIS規格に基づくと漆喰に調湿性能があるとは認められていません。

では、JIS規格とはどのようなものでしょうか。

日本産業規格(JIS=Japanese Industrial Standardsの略)。日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格。

(参照:https://www.jsa.or.jp/whats_jis/whats_jis_index/ JISってなに?)

調湿性能の評価方法は、1㎡に塗った試験体(ここでは漆喰)が24時間で何gの水分を吸うかを調べる作業を行います。

JISが定めた調湿建材の最低基準は、調湿性能が24時間で70g以上あることです。

しかし、一般的な漆喰の調湿性能は40g程度しかありません。

そのため、JIS規格の基準では「漆喰には調湿性能はない」と判断されているのです。

一方で塗壁材の”珪藻土”は、JIS規格の調湿性能70g以上をクリアしているので、調湿性能がある素材だと認定されています。

したがって、塗壁材に調湿性能を求める場合には、漆喰よりも珪藻土が向いています。

※珪藻土について詳しくは下記にまとめてあります。

珪藻土は安全?珪藻土について詳しく解説

漆喰には調湿性能はないが抗菌効果は高く昔から愛される素材

今回は漆喰の歴史や特徴について詳しく解説しました。

調湿性能が高いと思われがちな漆喰が、JIS規格では「調湿性能がない」と判断されていることは意外と思うかもしれません。

しかし、漆喰は抗菌効果が高いため、抗菌や防カビ効果は期待できる素材であることは間違いありません。

私たちの生活に期待できる効果によって、正しく素材を使い分けましょう。

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