近年、内装の左官仕上げとして注目されている「珪藻土」。
珪藻土でできたバスマットやコースター、軽量スプーンなどが人気となり、珪藻土は私たちの生活に身近なものとなりました。
そこで気になるのが珪藻土の安全性。
記憶に新しいニュースだと、中国で製造された珪藻土商品から日本の定めている基準値以上のアスベストが検出され自主回収が行われました。
そのニュースを受け、珪藻土を使用することに対して不安に思っている方も多くいらっしゃるでしょう。
今回は「珪藻土がどんなものかまだ知らない」という方に向け、珪藻土はどんな素材なのか、人体への影響など、珪藻土について解説します。
安全?珪藻土はどんな素材?
珪藻土は「水を吸う土」というイメージが強いと思います。
実は化石からできた「無機鉱物」です。
ここでは、珪藻土がどのような素材なのか詳しく解説していきます。
珪藻土は100%自然素材
珪藻土は藻類の一種である「珪藻」という名の植物プランクトンの死骸が海や湖の底で化石になり、その化石からできた岩石のことです。
自然から生まれた「鉱物」だとイメージすれば、わかりやすいかもしれません。
珪藻土の「吸水性」が高い理由は珪藻土の表面に無数の穴が開いており、そこから水分を吸収しているからです。
ですが、珪藻土は水分を吸収するだけではなく、湿度が40%以下になったときには自立的に水分を放出するので「調湿性能」にも優れています。
珪藻土には自硬性がないので固化材が必須
珪藻土には自ら固まる性質(自硬性)がないので、珪藻土を固める時には固化材を混ぜて固めなければなりません。
固化材として使用される素材は「漆喰・セメント・合成樹脂」など、メーカーによってさまざまです。
珪藻土の人体への影響について
珪藻土を使用するときに気になるのが、安全性についてです。
ここでは、珪藻土の健康面への影響やアスベストとの関係性について確認していきましょう。
珪藻土は人体への悪影響はない
「珪藻土には発がん性があるのでは?」と心配に思われている方が多くみられます。
現時点(2021年1月)では珪藻土に発がん性があるという発表はされていません。
IARC(国際がん研究機関)でも、珪藻土はグループ3の「人に対する発がん性について分類できない」グループに分類されています。
珪藻土とアスベストについて
珪藻土商品から、日本の定めた基準値(0.1%)以上のアスベストが検出されました。
これにより「珪藻土商品にはアスベスト使われている」、「珪藻土にはアスベストが混ざっている」と思われました。
しかし珪藻土自体にはアスベストは含まれていません。
珪藻土もアスベストも鉱物ですが、珪藻土は調湿材、アスベストは強化剤として使用されてきましたので全く違う性質を持つ鉱物です。
また、珪藻土とアスベストは大きさも形状も異なります。
アスベストの直径は、1ミクロン以下と、とても微細なのに対し、珪藻土の直径は10ミクロン程。
超微細なアスベストの粉塵は吸い込むと肺まで到達してしまいますが、珪藻土の粉塵は異物として痰にからめられ、肺まで到達することはありません。
使用目的や大きさ、形状などからも珪藻土とアスベストは別物だとわかります。
珪藻土はシックハウス症候群の予防にも効果的
珪藻土が内装の塗壁材として注目されているのは、調湿性能が優れていることもあります。
これは「シックハウス症候群」の予防にも効果的だからです。
ここではシックハウス症候群と珪藻土について解説します。
シックハウス症候群とは?
シックハウス症候群とは、建材や家具などからでる化学物質に身体が反応して「倦怠感・めまい・頭痛」などの不調をきたしてしまうことを言います。
とくに新築住宅などで発症することが多く、新築時に感じる「新築の臭い」も化学物質の臭いです。
引っ越しをしてから体の不調が続く場合には、シックハウス症候群になっている可能性があります。
シックハウス症候群の予防には換気や材質選びが大切だと言われていますが、塗壁材を珪藻土にすることも効果的です。
珪藻土はホルムアルデヒドを分解する
珪藻土は水分を吸収したり放出したりしますが、化学物質のひとつである「ホルムアルデヒド」に対しては吸着して分解します。
よって、ホルムアルデヒドが室内に放出されなくなるため、シックハウス症候群を予防できるのです。
ただし、珪藻土を固めるときに使う固化材や含有量によっては、効果が十分に発揮できないことがあるので注意が必要です。
珪藻土を塗壁材として使うときには、固化材の種類や含有量にも気を付けましょう。
珪藻土は安全な自然素材なので怖がる必要はない
安全性が心配されている珪藻土は、植物プランクトンでできた安全な素材であることがわかりました。
珪藻土は調湿性能にも優れており、近年問題視されている「シックハウス症候群」の予防にもなります
そのことからもアレルギー体質の方やお子さんがいらっしゃる家庭の塗壁材としても積極的に取り入れていきたい素材です。
塗壁材として使用するときには固化材や含有量にも気を付けて、珪藻土の効果をしっかりと発揮させましょう。
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