左官工事とは 外壁左官仕上げにおすすめの素材 【左官工事の歴史】

[著]
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左官工事とは建設業許可において、「工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をコテ塗り、吹付け、又ははり付ける工事」とされており、例示には「左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事」とされています。

表面の仕上げには主にコテが用いられ、コテの種類や左官工技術によって独特な表情や質感を作り出すことができるのが、左官工事の魅力と言えます。

減少傾向にある左官工事ですが、自然素材の仕上げ材が見直されるようになったことや、室内の調湿効果や脱臭効果、断熱効果や保温効果等が期待できることから、再び脚光を浴びています。

左官工事の歴史

日本建築では湿気の調節のために土壁と漆喰の組み合わせが畳とともに重要な役割を果たしてきました。

明治時代以前、日本家屋の壁は古くは竹などを格子状に編んだ小舞下地の両面に藁を混ぜた土を塗り重ねた土壁や漆喰が用いられ、それらの仕上げに左官職は欠かせない職業となりました。

中でも、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した入江長八という左官職人は技術を芸術的領域にまで昇華させたとして、記念館も建てられています。

明治時代以降、洋風建築が登場するとラスや煉瓦、コンクリートにモルタルを塗って仕上げていく手法が広まるようになり、昭和30~40年代の高度経済成長期には、鉄筋コンクリート構造の建物が大量に造られたことから、多くの左官職人が必要とされました。

その後、住宅様式の変化や建材の乾式化、プレキャストコンクリート工法の増加などによって、左官工事の需要が少なくなり左官職人数も減少してしまいます。

現在では、左官工事の減少から廃業も相次ぎ、また後継者不足から左官職人の高齢化も問題となっています。残念ながらその優れた職人ワザの継承も難しくなっています。

しかし最近では漆喰や珪藻土等の天然素材を使用した壁が見直されるとともに左官仕上げの素晴らしさが再評価されはじめています。

欧米スタイルと日本の良さを掛け合わせた和モダンが高く評価されており、多くの建築デザイナーの方が左官仕上げを採用するようになってきました。

左官工事 下地作り

左官工事は最終的な表面仕上げの塗り工事を担う印象が強いかもしれませんが、壁の基礎となる下地作りも大きな割合を占めています。

下地処理がしっかりできていないと、最初塗った時はきれいでも後からひび割れが入ってしまったり、表面がデコボコになってしまったりすることがあるので、下塗りでほぼ仕上がりが決まるともいわれています。

“塗り仕上げをする場合は、下地は非常に重要であります。下地の構成が粗悪では仕上げに適正な材料を使い入念に施工をしても仕上げられた壁面に欠陥が生じます。”

一般社団法人の日本左官業組合連合会 http://www.nissaren.or.jp/1015#more-1015

壁の下地は直接目にすることが多くありませんが、下地がしっかりできていないと壁作りが成り立たない程、重要な工程となっています。

左官工事 仕上げ塗り

壁などの表面にコテなどを用いて、漆喰や珪藻土を使って表面全体を仕上げていきます。

仕上げに用いられる素材には、土、漆喰、プラスター、珪藻土などがあります。

・土

基本的には和室に多く用いられ、ザラザラとした質感を表わした仕上げが一般的です。

京都の聚楽第で取れた色土を使って仕上げた土壁を京壁(聚楽壁)と言います。

・漆喰

消石灰(石灰石)に砂や糊などを加えて水で練り上げたものです。

漆喰には調湿性・消臭性など住宅の空気環境を調整する機能があるほか、水分が加わると微生物の繁殖を抑制し不活性化する高い抗菌性を兼ね備えています。

また、シックハウス症候群の原因物質なども含まないため、安全性も高い素材として注目を集めています。

・プラスター

石膏を主材にした石膏プラスターと、白雲母を焼いて水和熟成させたドロマイトプラスターがあり、プラスターというと一般的にはドロマイトプラスターのことを指します。

昭和30年代の公共施設の内壁には、ほぼドロマイトプラスターが採用されていましたが現在ではほぼ見かけなくなりました。

・珪藻土

藻類の一種である珪藻の化石よりなる岩石が珪藻土です。

高い保温性と程よい吸湿性があり、プロでなくても施工しやすいことからDIY好きな人にも人気が高い素材です。

 

腕の良い左官職人の作品は目を奪われるような仕上がりです。

しかし、左官仕上げは手間がかかるため、最近は乾式工法や湿式工法でも塗装が選ばれがちです。

情報社会でどんどんグローバルになっていく世の中、欧米スタイルと日本の良さを掛け合わせた和モダンな左官仕上げはこれからアリかもしれません。

これから仕上げをご検討の方は、ぜひ左官仕上げを検討してみてください。

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