「乾式工法」と「湿式工法」の違いとは?特徴や仕上げ方法は?

[著]
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

住宅の建築工事においては、さまざまな工法が用いられます。

「乾式工法」や「湿式工法」などもそのひとつですが、これらは内装や外装、そして水回りなどあらゆる場所で使われている方法になります。

しかし、この2つの工法が、具体的にどのような工法なのかよくわからない人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、建築工事で使われる「乾式工法」と「湿式工法」について、その特徴やおもな仕上げ方法などをご紹介したいと思います。

「乾式工法」と「湿式工法」とは?

「乾式工法」と「湿式工法」とは、建築工事で用いられる工法のひとつで、これらの違いとなるのは、大きく使用する材料に水を含むかどうかという点です。

伝統的な日本建築では「湿式工法」が多く使われてきましたが、近年では「乾式工法」の割合が高くなっていることも特徴として見られます。

「乾式工法」と「湿式工法」の、それぞれの特徴について以下に解説いたします。

「乾式工法」とは

「乾式工法」とは、水を使用せず「乾燥」している材料を使う工事を指していいます。

おもに、工場生産された材料を現場で取り付けるなど、施工を簡素化させていることが大きな特徴です。

例えば、サイディングやクロスなどが挙げられます。

「乾式工法」のメリットといえば、工場で大半をつくることによる品質の安定性が図れることや、短工期でコスト削減が可能となることなどです。

ただし、オリジナリティに欠ける画一的な仕上がりになりやすいことなどはデメリットといえるでしょう。

「湿式工法」とは

「湿式工法」とは、水を使用し「湿潤」している材料を使う工事を指していいます。

おもに、材料を現場でつくり、工事の大部分が職人の手作業で進められることが大きな特徴です。

例えば、モルタルや漆喰などが挙げられます。

「湿式工法」のメリットといえば、素材そのものの耐久性が高いことや、自由度が高くオリジナリティ溢れる仕上がりを実現できることなどです。

ただし、施工の手間がかかるため、工期が長く、そしてコストも高くなる傾向にあることはデメリットといえるでしょう。

「乾式工法」と「湿式工法」のおもな仕上げ方法とは

乾式工法と湿式工法には、さまざまな仕上げ方法があります。

これら工法は住宅のさまざまな部位で使用されますが、なかでも内装と外装についてご紹介したいと思います。

内装の「乾式工法」と「湿式工法」について

内装の乾式工法と湿式工法のおもな仕上げ方法について簡単にご紹介いたします。

乾式工法

乾式工法による、おもな内装の仕上げ方法は以下の通りです。

・クロス
・フローリング

 

これら仕上げ材は、おもに接着剤や釘などを使用して下地面へ貼り付けます。

また内装の下地には石膏ボードや合板などがよく使われますが、いずれもビスや釘で固定する乾式工法による施工です。

ほとんどの材料は規格化されているため、施工性に優れ、短い工期で完成させることが可能となります。

湿式工法

湿式工法による、おもな内装の仕上げ方法は以下の通りです。

・塗り壁
・モルタル

 

これらの仕上げ材は、おもに現場で練り混ぜてつくり、下地面へ塗り付けます。

塗り壁には、漆喰や珪藻土、土壁、砂壁などさまざまな種類があり、さらには職人のコテ技術を駆使してつくるパターンなど、あらゆる表情を楽しむことも可能です。

また材料は、私たちの身の回りにある自然素材を使うことで、吸湿性や消臭性、あるいは抗菌・抗ウィルス性などを発揮し、空気環境を改善する効果が期待できます。

外装の「乾式工法」と「湿式工法」について

外装の乾式工法と湿式工法のおもな仕上げ方法について簡単にご紹介いたします。

乾式工法

乾式工法による、おもな外装の仕上げ方法は以下の通りです。

・サイディング
・スレート屋根

 

これらの仕上げ材は、釘や金具止めなどを使って下地へ固定します。

近年の住宅では乾式工法による仕上げが主流となっており、その材料も柄や色など豊富な種類から好みのものを選べます。

また、これら仕上げ材は比較的軽量で建物への負担を軽減することから、耐震性向上に有利です。

なお、外壁のタイル仕上げは、乾式工法と湿式工法の両方が使えます。

乾式工法は、下地にベースサイディングを張り、その上にタイルを引っ掛けて固定する方法で、湿式工法は、モルタルで下地をつくり、その上にタイルを貼り付ける方法になります。

湿式工法

湿式工法による、おもな外装の仕上げ方法は以下の通りです。

・塗り壁
・土葺き屋根

 

外壁の塗り壁とは、モルタルや漆喰、ジョリパットなどの種類があり、いずれも現場で練り混ぜてつくり、下地面へ塗り付けます。

これらのうちモルタル壁は、サイディングが登場する以前の主流の仕上げ方法でしたが、現在の需要は限定的です。

ただし、手作業ならではの独特の風合いや美しさ、そして高級感のある仕上がりに惹かれる人も多く、人気の仕上げ方法であることに変わりありません。

また、土葺き屋根は、瓦の下地に土を使用する方法で、昭和初期まで用いられていました。

しかし、現在新築される住宅で使われることはなくなっており、乾式工法による軽量化が進んでいます。

まとめ

住宅の建築工事では「乾式工法」と「湿式工法」がありますが、現在のトレンドとなっているのは「乾式工法」です。

しかし、空気環境を整えられる機能性や他にはない唯一のデザインを楽しめることなどから、「湿式工法」による仕上がりは広く見直されています。

「湿式工法」による左官の技術は、非常に奥深く、それぞれの現場でまったく異なる表情や雰囲気を演出できることも大きな魅力です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*