コンクリートの品質を落とす雨、落とさない雨とは?

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コンクリートは、本来強度が高く非常に丈夫なものです。

しかし、工事中に雨が降っても問題はないのか、また工事後に降る雨なら品質に影響を与えないのかなど、雨打たれを不安に思う人も多いのではないでしょうか?

コンクリートの強度は、雨に打たれるタイミングによって品質を落とすかどうかが変わります。

また、品質に悪い影響を与えた場合は、適切な方法で対処しなくてはいけないことも知っておく必要があるでしょう。

今回は、コンクリートの品質を落とす雨と落とさない雨について、そのカギとなるタイミングを解説します。

コンクリートの品質を落とす雨とは?

コンクリートの品質を落とす雨とは、おもに以下の2つのパターンです。

・コンクリート打設工事中の雨
・土間コンクリート仕上げ中の雨

コンクリート打設工事中の雨

コンクリート打設工事中に降る雨は、完成品質を低下させる可能性があります。

コンクリートは、セメントに砂と砂利、水を混ぜ合わせてつくられますが、強度や耐久性を左右する重要な指標になるのが「水セメント比」です。

「水セメント比」とは、コンクリート1㎥当たりに使われている水とセメントの重量比率のことをいいます。

そして、コンクリート1㎥ をつくるための水量を「単位水量」といいます。

セメント量が同じ場合に水の量が少なくなるほど「水セメント比」の値は小さくなり、その数値が小さいほど強度や耐久性は高くなることが一般的な傾向です。

要するに、コンクリートの必要な強度を確保するには、「水セメント比」が高まらないよう「単位水量」を増やさないことがポイントになります。

なお、「単位水量」を減らしすぎるとジャンカができる原因になるため、その点にも配慮しなくてはいけません。

以上のことから、コンクリート打設工事中の雨は、計画以上の水が加わることになり品質を落とす可能性があります。

ただし実際は、多少の雨で品質に影響が及ぶことはそれほど多くありません。

場合によっては、シュミットハンマー検査やコア抜き検査など強度測定を実施し、必要な品質が得られているか調査することも可能です。

その結果、強度不足が判明したときは、解体してやり直すことも検討する必要があるでしょう。

土間コンクリート仕上げ中の雨

土間コンクリートの仕上げ工事中に降る雨は、完成品質を低下させる可能性があります。

玄関ポーチや庭のアプローチ、そして駐車場などは、コンクリートを打設しそのまま仕上げることはよくある方法です。

代表的な仕上げ方法としては「金ゴテ仕上げ」「刷毛ひき仕上げ」などが挙げられます。

これら仕上げ工程は、プロの職人によっておもに意匠を整える目的で行われますが、施工中の雨打たれはきれいに仕上げることが難しくなります。

見栄えが悪くなることはもちろん、表面も脆弱化するため適切な方法で補修しなくてはいけません。

おもな補修方法は、ぜい弱部分を削り落とし、浸透強化剤を塗布してモルタルやセルフレベリング材などで仕上げます。

仕上げの品質を十分に確保するために、浸透強化剤が下地深くに浸透することがポイントになります。

コンクリートの品質を落とさない雨とは?

コンクリートの品質を落とさない雨とは、コンクリートの品質を落とす2つのパターン以外の雨になります。

つまり、コンクリート打設から仕上げの工程ではないタイミングで降る雨は、ほとんどのケースで品質に影響することはないということです。

というのも、これらのタイミングで降る雨は、コンクリートの硬化に影響を及ぼす可能性が低いという点が挙げられます。

コンクリートの硬化は、セメントと水が化学反応を起こすいわゆる「水和反応」によって徐々に進みます。

通常、生コンは工場で練り混ぜて現場まで運んで打設するわけですが、練り混ぜ直後から硬化が始まり通常5~6時間で形状が変わらない程度まで固まります。

そして打設から28日で必要な強度以上になるよう設計されていますが、この時点からさらに強度が増していくことが一般的です。

またコンクリートは、「水和反応」によって硬化することから、打設後にはむしろ水分を奪われる乾燥に注意する必要があります。

急激な乾燥は、硬化に必要な水分を蒸発させてしまうばかりか、ひび割れを誘発する原因になるのです。

そのため、季節によっては、ある程度硬化したらコンクリート表面に散水して湿潤に保つ、いわゆる「散水養生」をすることもあります。

以上のことから、打設から仕上げにかからないタイミングの雨は品質に影響を与える可能性は低く、むしろ打設後には急激な乾燥を避けることが重要です。

まとめ

コンクリートの打設から仕上げにかけての工程で、雨に打たれると品質を落とす可能性があります。

そのため、雨が降る可能性が高い場合は、コンクリート打設工事は避ける必要があるでしょう。

そして、雨打たれによる品質の低下が明らかになったときは、やり直しや補修など必要な処置を講じなければいけません。

強度の確保が必要な工事だけに、必ず適切な材料を使い正しい方法で行いましょう。

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