日本家屋の伝統的な仕上げ方法でもある砂壁は、近年では少なくなってきたとはいえ、未だ多くの住宅で見られる人気の塗り壁です。
天然の素材を用いていることから、空気環境を整える効果も期待できるなど、非常に魅力の多い建材といえます。
しかし砂壁は、経年劣化や住環境の影響によりトラブルが発生することもあり、そのひとつとして挙げられるのが「カビ」です。
砂壁に生じる「カビ」は、見た目の印象が悪いことはもちろん、暮らす人の健康にも影響を与えることもあるため、適切に対処しなくてはなりません。
そこで今回は、砂壁の「カビ」について、発生する原因と効果的な対処法などを解説していきます。
【砂壁のカビ】発生する原因とは?
カビは、必要となる要素が揃ったときに発生します。
その要素とは以下の4つです。
・水分
・栄養
・温度
・酸素
以上の4つの要素がすべて揃うことでカビは発生しますが、これらのうちコントロールできるのは「水分」のみであり、その他は基本的にどうすることもできません。
なぜなら、温度や酸素は自然のものであり、また栄養分は食べかすや埃などあらゆるものが対象となるためで、これらの供給を断つことはきわめて難しいといえます。
つまり、「水分」が供給される環境では、カビが発生しやすいということです。
よって、砂壁にカビが発生するのも、「水分」が供給される環境にあることが原因と考えられます。
その原因とは、おもに以下のようなことが考えられます。
・室内の湿度が高い
・雨漏り
・結露
室内の湿度が高い
カビは、湿度60%以上、温度25~30℃で発生しやすいといわれています。
よって、梅雨の季節などはカビが発生するには非常に適した環境です。
雨漏り
住宅の雨漏りが起こり、その影響が砂壁に及ぶとカビの発生につながります。
雨漏りは、屋根だけでなく、外壁のひび割れや欠損が原因となることもあります。
結露
結露とは、空気中に含まれていた水蒸気が、水滴となって表面化する現象です。
空気中に蓄えることができる水分量のことを飽和水蒸気量といい、その量は温度が高くなるほど多く、逆に低くなるほど少なくなる性質があります。
例えば、冬の暖房により高温で湿度が高い環境となっている場合、空気中には多くの水分が蓄えられるようになります。
そして、その空気が窓の周辺で急激に冷やされると、飽和水蒸気量を超え、空気中の水蒸気が押し出されるように水滴となって現れるわけです。
結露は、建物内で非常によく起こる現象であり、砂壁にも影響が及ぶこともあります。
その結果として、カビは発生しやすくなります。
【砂壁のカビ】対処法とは?
砂壁に発生したカビは、場合によってはアレルギー疾患を引き起こすなど、健康リスクにもなり得るものです。
放置すると、根を張り除去することも難しくなるため、発見したら早めに対処することが重要になります。
また、対処後には、カビの発生原因である水分を供給しない環境づくりをすることも重要なポイントです。
砂壁のカビの対処法について、以下にご紹介いたします。
サンドーペーパーで削り落とす
初期のカビであれば、サンドーペーパーで削り落として除去できる場合があります。
ただし、あまり強くこすると砂が落ちてしまいます。
また、削った部分が周辺と色ムラが生じてしまう可能性がある点でも注意が必要です。
アルコール除菌
アルコールは、殺菌効果があり、カビに対しても効果を発揮します。
薬局などで販売されているスプレータイプの「エタノール」を吹きかけるだけで、簡単にカビを退治できます。
しかも、揮発性があるため、吹きかけた後にふき取る必要がありません。
ただし、アルコールに漂白性はないため、カビの跡は残ってしまう可能性があります。
まとめ
砂壁のカビは、見た目も悪く、そして何よりも暮らす人の健康にも影響を与えることがある点では十分な注意が必要です。
放置するすると、リスクはますます拡大する可能性があるため、できるだけ早く対処する必要があるでしょう。
また、日ごろからカビが発生しやすい環境をつくらないようにすることも重要なポイントです。