修繕工事のコンクリート下地補修。デキが悪いと起こる4つのリスク

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ビルやマンションなどの建物は、おもに鉄筋コンクリートでつくられていることから優れた耐久性を有しています。

また、経年劣化にともない修繕工事が必要となりますが、そのときには下地補修の工程が非常に重要なキモになります。

というのも、下地補修が完成品質を大きく左右するうえ、デキが悪いようならリスクに発展する可能性があるためです。

今回は、修繕工事のコンクリート下地補修とはどのようなことなのか、また下地補修のデキが悪いと起こる可能性のあるとくに気を付けたい4つリスクについて解説します。

修繕工事のコンクリート下地補修

修繕工事のコンクリート下地補修とは、仕上げの前工程に素地面(躯体面)を補修する工事のことをいいます。

ひび割れや欠損、不陸などを補修や調整を行い、その後の仕上げ工事に支障がでないようにするための重要な工程です。

おもにビルやマンションなどの建物は、経年とともに各部位で劣化が進行するため、定期的に修繕をしながら維持管理しなくてはいけません。

修繕工事の内容は例えば以下の通りです

・外壁塗装
・タイル補修
・防水工事

 

これらの工事は、十分な機能を発揮するためにも下地となるコンクリートの補修が重要なポイントになります。

下地補修が適切に行われることが、完成後の品質確保の条件といっても過言ではありません。

品質が十分でない場合に懸念されることといえば、コンクリートの劣化が進むことによる鉄筋への影響です。

内部で鉄筋が錆びてしまうと、膨張するため内側から押し出すようにコンクリートを破壊します。

このコンクリートを破壊する現象を「爆裂」といい、いったん起こると範囲をどんどん拡大させながら著しく強度を低下させてしまいます。

つまり、鉄筋が錆びることが建物寿命を縮める最大の原因であり、そのことを避ける意味で下地補修が重要なのです。

法令上の建物の耐用年数は、鉄筋コンクリート造(RC造)で47年、鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)で60年と定められています。

ただしこの年数は減価償却費を計算するために設定した年数であり、耐用年数を迎えるころには使えなくなるという意味ではありません。

外壁や屋上防水などを修繕しながら健全に運営することで、長寿命化を図ることが可能になります。

そのためにも、修繕工事のときの下地補修のデキがポイントになるわけです。

コンクリート下地補修のデキが悪いと起こる4つのリスク

建物の修繕工事には必ず下地補修をする必要があり、そのデキが悪い場合には重大なリスクがともなうことがあります。

考えられるリスクとは、おもに以下の4つです。

・建物寿命の短縮
・第三者災害
・漏水
・経済損失

建物寿命の短縮

下地補修のデキが悪いと、建物の寿命が縮まる可能性があることは重大なリスクです。

仕上がりがいくらきれいであっても、下地の劣化状況が改善されていない場合には症状が進む可能性があります。

例えば、ひび割れや欠損が適切に補修されなかった場合、躯体コンクリートの中性化は進行しやすく、鉄筋まで到達すると錆びてしまうことがあります。

中性化とは、通常強いアルカリ性を保っているコンクリートの内部が、空気中の炭酸ガスと反応して表面から徐々にアルカリ性を失っていく現象です。

そして内部の鉄筋はアルカリ性を保たれていることで腐食から守られていますが、中性化が鉄筋まで及ぶことにより錆びる可能性が生じます。

鉄筋が錆びると、体積が増大して内側からコンクリートを破壊し構造としての強度を損ねるようになるのです。

さらに広い範囲で構造の強度低下が進むようなら、建物寿命は著しく縮まってしまうかもしれません。

第三者災害

下地補修のデキが悪いと、仕上げ材となるタイルやモルタルなどは本来の耐久性を発揮できず、比較的早い段階で剥がれ落ちてしまう原因になります。

その結果、その下にいる人やものなどに接触して重大な災害に発展する可能性があることは注意が必要です。

漏水

コンクリートは本来水を通しにくい素材です。

ところが、下地補修のデキが悪いと、修繕工事後にも水の通り道ができてしまうことがあります。

とくに気を付けておきたいのはひび割れで、適切に補修されなかった場合には規模が拡大して建物内部にまで及ぶこともあります。

そこに雨水や結露などで水分が供給されると漏水につながるというわけです。

またコンクリートの劣化が原因の漏水は、鉄筋の錆びにつながる症状でもあります。

重大な問題として捉え、早急に調査を行い必要な処置をとる必要があるでしょう。

経済損失

修繕工事にともなう下地補修のデキが悪いと、早い段階で不具合が発生しやすくなるなど、さまざまな問題を抱える可能性があります。

それらはいずれも、部分補修をする必要があったり、あるいは次の修繕を早めることになったりするなど、何らかの対応が必要になります。

つまり、下地補修が適切なら必要ではないコストがかかるということです。

十分な品質を確保するには、適正な性能を有する材料を使用することと正しい施工が行われることがポイントになります。

まとめ

コンクリートの建物は非常に丈夫ですが、経年とともに必ず劣化していきます。

適切に修繕をしながら使うことで、建物の資産価値を落とさずに維持管理することが可能になります。

長寿命化を考えるうえで構造部分の劣化を抑えることが重要なテーマであり、そのためにもコンクリート補修がキモになるのです。

またコンクリート補修には使用する材料の性能も重要な要素になります。

劣化の状況に適しているもの、そして補修後の十分な品質確保ができるものを選ぶことがポイントになるでしょう。

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