クラックフィラーとクラックイレイザーを徹底比較!樹脂配合・強度・価格の違い

[著]
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コンクリート床の細かなひび割れを補修する材料として、「クラックイレイザー」と「クラックフィラー」があります。

どちらも、適用条件を満たす微細なひび割れをVカットせずに補修できるセメント系の材料です。

専用容器からひび割れに材料を流し込み、硬化が進んだら余分な材料を削り取るという施工方法もよく似ています。

しかし、両製品には重要な違いがあります。

それが「樹脂(ポリマー)の有無」「強度試験データの公開状況」「内容量と価格」です。

特に注目したいのが、セメント系補修材への樹脂配合です。一般に、適切にポリマーを配合したセメント系材料では、付着性や曲げ強さ、耐透水性などの改善が期待できます。

この記事では、両製品のメーカー公式仕様を比較するとともに、ポリマーセメントモルタルの技術的なメリットを、学術研究のデータを交えて解説します。

クラックイレイザーとクラックフィラーの違いを一覧表で比較

まずは、メーカーが公表している仕様と参考販売価格を比較しましょう。

比較項目 クラックイレイザー クラックフィラー
メーカー ヤブ原産業 AFJ
樹脂の有無 カチオン系粉末樹脂配合 樹脂成分なし
内容量 400g 360g
対応クラック幅 0.2~2.0mm 0.2~2.0mm
Vカット 不要(適用条件下) 不要(適用条件下)
標準施工長さ 約25~35m 約30m
付着強さ 1.4N/mm² 非公開※
曲げ強さ 10.0N/mm² 非公開※
圧縮強さ 42.2N/mm² 非公開※
税込参考販売価格 4,694円 4,950円
100g当たり参考価格 約1,174円 約1,375円

※「非公開」は、記事作成時点でメーカー公式公開資料に該当する強度試験数値が掲載されていないことを意味します。
※参考販売価格は、記事作成時点の価格。クラックイレイザーが「あきばお~」のEC掲載価格、クラックフィラーがAFJ公式オンラインショップ掲載価格です。
※施工長さは各社公表値であり、両製品を同一条件で比較試験した結果ではありません。

共通する施工上の特徴が多い一方、クラックイレイザーはカチオン系粉末樹脂を配合し、3種類の強度試験結果を公表している点が特徴です。

一方、クラックフィラーは樹脂を使用せず、超微粒子セメントによる流動性や仕上がりを訴求しています。

では、セメントに樹脂を配合することで、材料の性能にはどのような違いが生じるのでしょうか。

最大の違いは樹脂の有無!ポリマーセメントのメリットとは?

セメント系材料にポリマーを配合する理由

セメントモルタルは圧縮方向の力に対して比較的強い一方、引張や曲げに対して脆いという性質があります。

また、既存のコンクリートを補修する場合は、材料自体の強度だけでなく、下地との付着性も重要になります。

こうした特性を改善する技術の一つが、セメント系材料へのポリマー配合です。

ポリマーセメントモルタルでは、セメントの水和反応によって形成される硬化体と、ポリマーによる皮膜・組織が組み合わさります。

適切な種類・割合のポリマーを配合すると、一般に次のような性能改善が期待できます。

  • 付着性の改善:既存コンクリートなどの下地との付着強さの向上
  • 曲げ強さの改善:曲げ応力に対する抵抗性の向上
  • 靱性の改善:脆性的な破壊を抑える方向での性能改善
  • 耐透水性の改善:水分が内部に浸透しにくい組織の形成
  • 耐久性の改善:配合条件に応じた物質浸透抵抗性などの向上

ただし、樹脂を配合すれば必ずすべての性能が向上するわけではありません。効果はポリマーの種類、配合率、セメントの種類、水量、空気量、養生条件などによって変わります。

研究では付着強さが約2~3倍になった例も

ポリマーセメントモルタルのメリットは、材料工学の研究でも検証されています。

2024年に学術誌「Materials」に掲載された研究では、再乳化型アクリル系ポリマーを使用したモルタルと、ポリマーを配合していない普通モルタルの性能が比較されました。

その結果、特定の材料・配合・試験条件では、次のような性能改善が報告されています。

性能 普通モルタルとの比較
付着強さ 約2~3倍
曲げ強さ(材齢28日) 約45~74%向上
圧縮強さ この研究では向上したが、一般には配合条件によって増減

曲げ強さについては、普通モルタルの6.5N/mm²に対し、ポリマーを配合した試験体で9.4~11.3N/mm²という結果が得られています。

また、付着強さについても、普通モルタルの約2~3倍となったことが報告されています。

この研究は、ポリマーを適切に配合することがセメント系材料の性能改善につながる可能性を示しています。

出典:Jeong-Bae Lee, “Redispersible Acrylic Ester Polymers: Effect of Polymer Property Changes Due to Polymerization Method Modification and Functional Additives on the Performance of Polymer Cement Mortar”, Materials, 2024.
研究論文を確認する

重要:研究結果の解釈について
上記は特定のポリマーセメントモルタルを用いた研究結果です。クラックイレイザーとクラックフィラーを直接比較した試験ではありません。また、研究で使用された樹脂の種類・配合率・試験体条件は、クラックイレイザーの配合条件と同一ではありません。そのため、両製品の性能差をこの倍率で表すことはできません。

なぜひび割れ補修では付着強さが重要なのか?

コンクリートのクラック補修では、ひび割れ内部に補修材を充填し、既存コンクリートと一体的に機能することが求められます。

そのため、補修材自体の強さだけでなく、既存コンクリートとの付着性も重要です。

仮に材料そのものの圧縮強さが十分であっても、下地との付着が不十分であれば、補修材とコンクリートの界面で不具合が生じる可能性があります。

補修材を技術的に検討する際は、圧縮強さだけでなく、付着強さや曲げ強さにも注目したいところです。

クラックイレイザーはカチオン系粉末樹脂を3.8%配合

ヤブ原産業が公開している「クラックイレイザー 組成・試験成績表」には、次の組成が示されています。

組成 配合率
ポルトランドセメント 57.2%
添加剤(消泡剤・減水剤・保水剤等) 39.0%
カチオン系再乳化型粉末樹脂 3.8%
合計 100.0%

クラックイレイザーは、カチオン系粉末樹脂を配合したセメント系クラック補修材です。

セメント系材料の強さや施工性を生かしつつ、樹脂配合によって付着性などにも配慮した材料設計となっています。

もっとも、樹脂の配合率だけで製品の性能を判断することはできません。

材料選定では、配合情報とともに、実際に公表されている試験成績を確認することが重要です。

クラックイレイザーの組成・試験成績表を確認する

クラックイレイザーは付着・曲げ・圧縮の強度試験データを公開

ヤブ原産業の公式資料には、次の試験結果が掲載されています。

試験項目 公表値
付着強さ 1.4N/mm²
曲げ強さ 10.0N/mm²
圧縮強さ 42.2N/mm²

出典:ヤブ原産業「クラックイレイザー 組成・試験成績表」。上記はメーカー公表の試験結果であり、実際の施工箇所における保証値ではありません。

付着強さ1.4N/mm²

付着強さは、補修材が下地にどの程度付着しているかを評価する指標です。

既存コンクリートの補修では、下地との接着性が重要になるため、材料選定時に確認したい試験項目の一つです。

曲げ強さ10.0N/mm²

曲げ強さは、材料に曲げ応力が作用したときの抵抗性を表します。

セメント系補修材の性能を把握するうえでは、圧縮強さとあわせて確認したい数値です。

圧縮強さ42.2N/mm²

圧縮強さは、材料に圧縮方向の荷重が作用した際の抵抗性を示します。

ただし、補修箇所の耐荷重性や長期耐久性は、補修材単体の圧縮強さのみでは判断できません。下地の状態、施工条件、荷重条件なども関係します。

クラックフィラーの強度データは?

2026年10月26日時点で確認したAFJ公式製品ページおよび公開FAQでは、クラックフィラーの付着強さ・曲げ強さ・圧縮強さの具体的な数値は確認できませんでした。

したがって、これらの強度について両製品を数値で直接比較することはできません。

一方、クラックイレイザーは3種類の試験結果を公開しているため、数値を参考にしながら材料を検討できます。

技術資料に必要な性能値が明示されていることは、施工会社や設計担当者が材料選定する際の判断材料になります。

クラックイレイザーの詳しい製品情報はこちら

施工方法・仕上がり・購入先を詳しく見る →

クラックフィラーは樹脂を配合しないセメント系補修材

一方、AFJが販売するクラックフィラーは、樹脂成分を含まないセメント系補修材です。

AFJの公式FAQでも、樹脂成分を含まないことが明記されています。

クラックフィラーは、超微粒子セメントによる流動性や、コンクリート色による補修跡の目立ちにくさなどを特徴として紹介されています。

また、公式情報では、水性顔料による着色にも言及されています。

このように、クラックフィラーは樹脂を配合しないことを含めた材料設計を採用しています。

クラックイレイザーとクラックフィラーの価格・内容量を比較

クラック補修材を選ぶ際には、材料の技術的な特徴だけでなく、価格や内容量も重要な判断基準です。

参考販売価格を比較すると?

2026年10月26日時点の参考価格を比較しました。

項目 クラックイレイザー クラックフィラー
内容量 400g 360g
税込参考価格 4,694円 4,950円
100g当たり 約1,174円 約1,375円
販売元 あきばお~ AFJ公式ショップ

今回の参考価格では、クラックイレイザーの方が1本当たり256円安く、内容量は40g多いという結果です。

100g当たりの単価に換算すると、クラックイレイザーの方が約14.7%低くなります。

施工コストは100g単価だけでは決まらない

内容量が多いからといって、必ずしも施工可能なひび割れの長さが比例して増えるわけではありません。

各メーカーの公表施工長さは、クラックイレイザーが約25~35m、クラックフィラーが約30mです。

いずれも幅0.5mm、深さ10mm程度のひび割れを想定した参考値ですが、材料ロスなどの算定条件が完全に一致しているとは限りません。

実際の施工量は、ひび割れの幅、深さ、内部空洞の有無、下地状態、作業時の材料ロスによって変わります。

したがって、材料費を比較する際は、1本の価格や重量単価だけでなく、施工箇所の条件も考慮する必要があります。

クラックイレイザーとクラックフィラーはどこで購入できる?

両製品とも、Amazonや楽天市場などのECサイトで取り扱われています。

最新の販売価格、送料、在庫状況は各ショップでご確認ください。

クラックフィラー

クラックフィラーの購入先

クラック補修材を選ぶときの4つのポイント

1.樹脂配合などの材料設計

セメント系補修材には、ポリマーを配合したものと樹脂成分を含まないものがあります。

ポリマー配合には、付着性や曲げ強さなどの性能改善を目的とした技術的な意義があります。

ただし、実際の性能は配合設計と試験条件によって異なるため、樹脂の有無だけでなく製品の技術資料も確認しましょう。

2.強度試験などの性能情報

工事会社や設計担当者が補修材を選ぶ際には、付着強さ・曲げ強さ・圧縮強さといった試験データが参考になります。

使用環境に応じて必要な性能を整理し、メーカー公表の試験成績や施工条件を確認することが重要です。

3.施工対象と適用条件

両製品とも微細クラックの簡易補修に使用できますが、すべてのひび割れに適しているわけではありません。

クラックイレイザーでは、土間コンクリートのほか、床面のタイル・石材のモルタル目地などが適用用途として案内されています。

いずれの製品も、構造的な問題を伴うひび割れや貫通クラックなどについては、原因を調査し、適切な補修工法を検討する必要があります。

4.補修後の仕上がりと施工コスト

コンクリートのクラック補修では、材料の性能だけでなく、補修跡の見た目も重要です。

両製品ともコンクリート色での仕上がりを特徴としていますが、実際の色合いは下地の状態や施工条件によって変わります。

美観を重視する場合は、施工する下地に近い条件で試験施工を行うことをおすすめします。

よくある質問

Q.樹脂入りのクラックイレイザーの方が強度は高いのですか?

一般的に、ポリマー配合によってセメント系材料の付着強さや曲げ強さが向上する研究例はあります。

ただし、両製品を同一条件で直接比較した強度試験データは今回確認できていません。樹脂の配合だけでクラックイレイザーの方が強いと断定することはできません。

Q.どちらもVカットせずに補修できますか?

はい。両製品とも、適用条件を満たす幅0.2~2.0mm程度の床面の微細なひび割れを、Vカットせずに補修する用途で販売されています。

ただし、構造クラックや貫通クラックなどには適しません。

Q.樹脂配合の有無で補修跡の見た目は変わりますか?

変わる可能性はありますが、補修跡の色合いは樹脂の有無だけで決まるものではありません。

セメントの種類、顔料、材料配合、下地の色、表面状態、仕上げ方法なども影響します。

Q.クラックイレイザーの施工方法を詳しく知りたいのですが?

クラックイレイザーは、規定量の水を加えて混練し、清掃・水湿ししたひび割れに材料を流し込んで補修します。

詳しい施工手順や仕上がり写真は、「プロ御用達のコンクリートクラック補修剤『クラックイレイザー』とは?」で紹介しています。

まとめ|樹脂配合・強度データ・価格を確認して補修材を選ぼう

クラックイレイザーとクラックフィラーは、どちらもコンクリート床の微細なひび割れを簡易補修するためのセメント系材料です。

対応するひび割れ幅や基本的な施工方法は似ていますが、材料設計には違いがあります。

クラックイレイザーの主な特徴は次の3点です。

  • カチオン系再乳化型粉末樹脂を配合している
  • 付着強さ・曲げ強さ・圧縮強さの試験結果を公開しており、いずれも高い性能
  • 内容量は400gで、今回調査した参考価格では100g当たりの単価が比較的低い

ポリマーの適切な配合は、セメント系材料の付着性や曲げ強さ、耐透水性などの改善に役立つ技術として研究・活用されています。

クラック補修材を選ぶ際には、樹脂の有無だけでなく、公開された性能試験、使用する場所、ひび割れの状態、仕上がり、価格などを総合的に比較することが大切です。

クラックイレイザーについて、実際の施工方法や補修前後の写真を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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参考資料・出典

※製品仕様および価格の比較は記事作成時点で確認できた公開情報に基づきます。販売価格・仕様・在庫は変更される場合があります。

※メーカー公表値は、それぞれの試験条件に基づくものであり、両製品を同一条件で直接比較した性能試験ではありません。実際の施工では、最新の製品資料・施工要領書を確認してください。

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