目次
・はじめに
・漆喰のリフォームの魅力と効果についての紹介
・伝統的な漆喰と現代しっくいの紹介
・リフォーム時の下地の準備と補修
・漆喰の仕上がりパターン
・メンテナンス
・まとめ
はじめに
漆喰は、日本の伝統的な壁材でありながら、現代の建築でも人気があります。その美しさと機能性から、多くの人々が自宅や商業施設のリフォームに漆喰を選ぶようになっています。漆喰のリフォームは、空間に温かみや風合いを与えるだけでなく、調湿効果や断熱性などの優れた特性ももたらします。
しかし、漆喰のリフォームは正しい施工と適切なメンテナンスが必要です。本記事では、漆喰のリフォームにおける施工のポイントとメンテナンスの秘訣について詳しく探っていきます。
漆喰のリフォームの魅力と効果についての紹介
漆喰のリフォームは、その独特な魅力と様々な効果により、建物や空間を大きく変えることができます。以下では、漆喰のリフォームの魅力と効果について詳しく紹介します。
美しさと風合い
漆喰は、その独特の質感と自然な風合いが特長です。壁面や天井に漆喰を施すことで、優雅で温かみのある空間を演出することができます。また、漆喰は光の反射を穏やかにし、空間全体を柔らかな雰囲気で包み込む効果もあります。
調湿効果
漆喰は調湿性に優れており、湿度の調節を行う能力があります。高い吸湿・放湿性を持つため、室内の湿度を適切に保ち、快適な居住環境を作り出すことができます。特に、季節の変化や気候の厳しい地域では、漆喰の調湿効果が特に重要となります。
断熱性
漆喰は優れた断熱性を持っています。厚みのある漆喰の層は熱の伝導を防ぎ、外部の温度変化から室内を守ります。その結果、冬は暖かさを保ち、夏は冷気を内部に閉じ込める効果があります。断熱効果によって、エネルギー効率が向上し、暖房や冷房の負荷を軽減することができます。
防火性
漆喰は非常に優れた防火性能を持ちます。耐火性があり、火災が発生した場合に火の延焼を遅らせる効果があります。漆喰は燃えにくい素材であり、安全性を高めるだけでなく、建物全体の防火性を向上させる重要な役割を果たします。
耐久性とメンテナンス性
正しく施工された漆喰は、長期間にわたって耐久性があります。漆喰は徐々に固化し、表面の傷やスレにも強いため、美しい仕上がりを持続させることができます。また、メンテナンスも比較的容易であり、定期的な清掃や補修を行うことで、長寿命な壁材としての性能を保つことができます。 漆喰のリフォームには、美しさ、機能性、耐久性、そして安全性といった魅力と効果があります。これらの特性を活かし、自宅や建物のリフォームプロジェクトで漆喰を取り入れることで、魅力的で快適な空間を実現できるでしょう。
伝統的な漆喰と現代しっくい
漆喰の中でも種類がいくつか存在します。代表的なものとして、昔ながらの「伝統的な漆喰」と近年人気の「現代しっくい」についてご紹介します。 伝統的な漆喰と現代しっくいは、材料や施工方法、デザインの観点からいくつかの違いがあります。以下にそれぞれの違いを説明します。
伝統的な漆喰
伝統的な漆喰は、古代から使用されてきた歴史ある技術や材料を使用しています。主な特徴は次のとおりです。
材料:
伝統的な漆喰は、消石灰と角又等の海藻糊と麻スサを混ぜ合わせて作ります。 消石灰は石灰石を焼いて作られます。角又等の海藻類は作業性改善の為、麻スサは亀裂防止の為、混入されます。
施工方法:
消石灰、角又、麻スサを水で練り混ぜてペースト状にし、壁面や天井に均一にコテで塗り込むことで仕上げます。施工後は時間をかけて乾燥し、硬化します。
質感と風合い:
伝統的な漆喰は、自然な質感と風合いが特長です。手作業による独特の表情が現れます。また、時間とともに経年変化し、味わい深い表情を持つこともあります。
現代しっくい
日本左官業組合連合会が定義した用語です。 現代しっくいは、伝統的な漆喰を基にしながら、材料やデザインの面で現代のニーズに合わせた進化を遂げています。
材料:
現代しっくいは、従来の主成分である消石灰に加えて、アクリル樹脂やCNFなどの添加物が使用されることがあります。これにより、施工や耐久性の向上が図られます。 施工方法: 現代しっくいは、伝統的な手法に加えて、より効率的な施工方法が取り入れられることがあります。ローラーなどの道具を使用して、均一な仕上がりを実現することができます。
デザインとカスタマイズ性:
現代しっくいは、さまざまな色や仕上げ効果を持つことができます。着色剤を添加することで様々な色合いを表現し、平滑な仕上げからテクスチャーやパターンを持つものまで、多様なデザインが可能です。
耐久性とメンテナンス性:
現代しっくいは、耐久性や耐候性が向上しています。添加物や改良された施工方法により、より強固な表面や防水性が実現されます。また、メンテナンスも従来の漆喰に比べて容易になっているものが多いです。 伝統的な漆喰と現代しっくいは、材料や施工方法、デザインの観点から異なる特徴を持ちます。伝統的な漆喰はその歴史と風合いに魅力がありますが、現代しっくいは現代の要求に応えつつ、耐久性やカスタマイズ性の面で優れた選択肢となっています。 ここで現代しっくいの代表的な製品をいくつかご紹介します。
関西ペイント㈱ アレスシックイ
漆喰由来の調湿機能を持っています。不快なニオイを吸着分解する消臭機能、抗ウイルス機能、抗菌・防カビ機能に優れています。 ローラーで施工できるのが最大の特長です。
日本プラスター㈱ 漆喰うまーくヌレール
石膏ボードや壁紙の上から直接塗れます。 調湿性、消臭力、抗菌性、防カビ性、不燃性に優れています。ホームセンターでも購入できるため、DIY用途として人気の高い商品です。
田中石灰工業㈱ タナクリーム
・湿度を調節し、結露から来るカビやダニを防止します。
・環境に優しい素材を使用しています。
・悪臭やホルムアルデヒドを吸着する機能があります。
・静電気の発生が無く、ビニールクロスよりも汚れにくいです。
・アルカリ性で、抗菌作用が長時間持続します。
リフォーム下地の準備と補修
漆喰リフォームの施工において、下地の準備と補修は重要なポイントです。以下に、下地の準備と補修に関する説明をいたします。
状態確認:
漆喰を施工する前に、下地の状態を確認しましょう。壁や天井にクラックやヒビ、浮きなどがある場合は、補修が必要です。
不要物除去:
古い塗装や壁紙、不要なモルタルを除去し、下地をきれいにしましょう。均一で平らな下地が漆喰の仕上がりに影響します。 基盤の安定化: 下地の基盤が不安定な場合は、補強や補修が必要です。割れたコンクリートや腐食した木材などを適切に修復し、安定性を確保しましょう。
補修:
下地にクラックがある場合は、漆喰の仕上がりに影響を与える可能性があります。フィラー材や漆喰用の修復材を使用して、クラックを補修しましょう。
凹みや穴の補修:
下地に凹みや穴がある場合は、補修が必要です。モルタルや漆喰用の補修材を使用して、凹んだ部分や穴を埋めるように補修しましょう。
平滑化:
下地の表面が不均一な場合は、平滑化が必要です。均一な表面を作るために、モルタル等の下地調整材を施すなどして下地を整えましょう。
補修作業では、適切な補修材と道具を使用し、均一で安定した下地を作ることが重要です。下地の準備と補修作業に時間と手間をかけることで、漆喰の施工後の仕上がりや耐久性を向上させることができます。専門の施工業者や建築の専門家からのアドバイスを受けることもおすすめです。 下記は改修の際、漆喰を施工する前の下塗りとしてお勧めの製品です。 下地に応じて使い分ける必要がありますので、 詳しい施工方法などは、各リンク先よりご確認下さい。
近畿壁材工業㈱ 島かベプライマー(漆喰用)
【特 長】
・下地の吸水を抑え、上塗りの作業性を向上させます。
・下地からのアクを止めます。
・上塗り材の付着力を向上させます。
・下地の透けや汚れを防止する高い隠ぺい力があります。
日本プラスター㈱ NP-α(アルファ)
【特 長】
・広範な下地に塗ることができます。
・漆喰への塗り替え工事が、早く確実になります。
・すぐれた密着性で、耐久性が向上します。
・混練り不要のペースト状で、シーラー不要です。
ヤブ原産業㈱ ガッチリ浸透プライマーW/寒冷地
【特 長】
・脆弱した漆喰などの無機質系下地に容易に浸透し、強化します。
・水性なので、有機溶剤の発散がありません。(室内でも使用が可)
・塗布後モルタルなどのセメント系材料、および水系材料等が直接施工できます。(その他につきましてはお問い合せください)
・一液でかつ原液使用のため、混ぜたり希釈する必要がありません。
・気温マイナス5℃まで施工可能です。(ガッチリ浸透プライマー寒冷地)
■施工写真
既存の古い漆喰下地にガッチリ浸透プライマーを塗布し、水性塗料で仕上げた現場です。
漆喰の仕上がりパターン
下地の補修が完了したら、いよいよ仕上げです。漆喰の壁というと、真っ白でフラットな壁をイメージする人が多いかもしれません。昔ながらの漆喰ではそのような仕上がりであることが確かに多いですが、現代においては、漆喰の仕上げパターンも多様化しています。以下にいくつかの代表的なパターンをご紹介いたしますので、ご自分の好みに合ったパターンをお選びください。
押え仕上げ
一番オーソドックスな漆喰の仕上げ。漆喰をムラなく平らに塗りつけます。シンプルだからこそ職人の技術の差が出やすい仕上げりとも言えます。
磨き仕上げ
漆喰を塗りつけて、表面が密になるように何回も押えることで、鏡面のような仕上がりにします。職人の技術が最も必要とされる仕上がりと言われています。
扇模様仕上げ
漆喰を塗りつける際に、コテで扇状の跡を残す仕上げ。和風の飲食店などでよくみられる仕上がりパターンです。
刷毛引き仕上げ
コテで塗りつけた後、乾燥する前に刷毛を使用し模様を付ける仕上げです。刷毛の他にホウキなどでも施工可能です。
ローラー仕上げ
コテを使用せずに塗料のようにローラーで仕上げるパターン。材料は限られますが、コテの技術を要しませんので、DIYでも施工可能な仕上げです。
スパニッシュ仕上げ
コテを使ってエッジが出るように仕上げるパターンです。メリハリのある凹凸が特徴となります。コテ跡はランダムになりますので、インパクトのある仕上がりとなります。
このほかにも様々なデザインの仕上がりパターンが存在します。また、カラーバリエーションも豊富で白以外からもお選びいただけます。是非お気に入りのパターンとカラーを見つけてみてください。
メンテナンス
漆喰の掃除やお手入れは、美しい状態を保つために重要です。以下に、漆喰の掃除やお手入れの方法を解説いたします。
普段のお手入れ方法
漆喰壁のふだんのお掃除は、ホコリを落とす程度で十分です。漆喰壁は静電気を貯めない性質を持っていますので、ホコリを寄せ付けません。しかし、まったくホコリが付かないといわけではありませんので、ときどきはたきや、きれいな布などで埃をふき取っておきましょう。
軽微な汚れ
漆喰に付着した表面上の軽微な汚れの場合は、ご家庭にある消しゴムを使い、汚れが付着した箇所をこすることで簡単に落とすことが出来ます。また消しゴムで落としきれない場合は水を含ませたメラミンスポンジが効果的です。
染み込んでしまった汚れ
消しゴムや、メラミンスポンジで除去できない染み込んでしまった汚れの場合は、サンドペーパーを使ってゆっくりと汚れた箇所を中心に広範囲で削っていきます。汚れた箇所だけを削るとそこだけピンポイントで目立ってしまうので、汚れの周辺も含めゆっくりと優しく削っていきます。補修後は多少色合いが違ってみえますが、経年で徐々に馴染んでいきます。
それでも落とし切らなかった汚れの場合
中性洗剤を水で薄め、きれいな布に含ませて優しく拭き取ります。それでも残るようなら塩素系漂白剤を水で薄めて、きれいな布を使って優しく塗っていきます。乾燥後、水を含ませた布で叩くようにして漂白剤を拭き取ります。
■予防策: 漆喰の表面を保護するために、適切なコーティングを行うこともあります。透明な保護剤やワックスを使用することで、汚れや染み付きを防ぐことができます。漆喰の周囲には、飲み物や食べ物などの容器を置かないようにしましょう。また、煙や揮発性の物質からの影響も避けるように注意してください。 以上の方法に従って漆喰の掃除やお手入れを行うことで、美しい状態を維持することができます。ただし、漆喰の特性や製品によって適切なお手入れ方法が異なる場合がありますので、製品の仕様書などを事前にご確認いただく事をおすすめします。
まとめ
漆喰のリフォーム方法とメンテナンスは、美しい漆喰の状態を長く維持するために欠かせません。適切な施工方法と定期的なメンテナンスを行うことで、漆喰の耐久性や美観を保ちながら、快適な生活空間を作り出します。 この記事を参考に、是非漆喰のリフォームに挑戦してみてください。