春の季節に多くの人を悩ませるものといえば「花粉症」です。
「花粉症」は、スギなどの花粉が鼻腔内に入ると、免疫反応により体内から異物を排除するために鼻水などの症状が起こることをいいます。
また、「花粉症」が季節性のアレルギー性鼻炎と呼ばれることに対し、年間を通じて症状があるものは通年性といいます。
通年性のアレルギー性鼻炎の最大の原因といわれているのは、実は「ダニ」です。
これらアレルギー疾患の対策のひとつに湿度管理が挙げられますが、これを効果的に行ってくれるものに「塗り壁」があります。
そこで今回は、「塗り壁」は花粉症などのアレルギー疾患の対策として効果が期待できるのか解説します。
塗り壁の調湿性について
塗り壁とは、自然素材などを使い、左官職人のコテ技術を駆使して仕上げる壁のことをいいます。
塗り壁の代表的なものに「漆喰」や「珪藻土」などがありますが、とくに「珪藻土」は調湿性に優れる仕上げ材として知られています。
「珪藻土」とは、海に生息する植物性プランクトンの一種である珪藻が、死骸となって堆積し、化石化したものです。
「珪藻土」は、表面に無数の孔を持つ多孔質であることで、調湿性を発揮します。
「珪藻土」の調湿性とは、湿度の高いときに湿気を吸い込み、湿度が低い環境のときに吐き出すといったように、施工するだけで室内環境の湿度管理が行えるというものです。
湿度とアレルギーの関係について
湿度とアレルギー疾患は、密接な関係があります。
しかし、湿度は高すぎても低すぎてもよい環境とはいえず、適度に保つことがポイントとなります。
なぜなら、適度な湿度環境にあると、花粉やカビ、ダニなどの影響を受けにくくなるためです。
湿度とアレルギーの関係について、簡単に解説いたします。
湿度と花粉症の関係について
花粉症は、湿度が高いほど影響を受けにくくなります。
というのも、花粉は遠くにある同じ樹種の「めしべ」のもとへ辿りつくため、風に飛ばされ空気中に舞いますが、雨など湿度が高い環境では、水分を吸って重くなり地上へ落下するためです。
花粉症の人が雨の日に症状が軽いと感じるのは、花粉が風で運ばれてこないことが原因です。
同様に、湿度の高い環境を室内でつくれれば、花粉が入り込んでも床へ落下し影響を受けにくくなります。
つまり、春の乾燥しがちな室内を適度に加湿することで、花粉の浮遊を抑えることが可能となるわけです。
ただし、床に落ちた花粉がドアの開閉などで再び舞い上がらないよう、拭き掃除をすることなどもポイントとなります。
湿度とダニ、カビの関係について
季節性のアレルギー性鼻炎である花粉症と異なり、通年性のアレルギー性鼻炎を引き起こす大きな原因はダニやカビなどです。
また、その他のアレルギー症状としては、ぜんそくや皮膚炎などさまざまで、場合によっては重症化することもある点では十分に注意しなくてはなりません。
カビやダニは、ともに湿度が高くジメジメした環境を好みますが、これらは湿度が65~70%以上にもなると激しく増えるといわれています。
よって、室内の湿度が上がり過ぎないよう管理し、カビやダニの繁殖を防止する必要があります。
塗り壁は湿度管理に適した仕上げ材
塗り壁は、壁や天井に施工するだけで室内の湿度管理を行える仕上げ方法です。
とくに珪藻土は吸放湿性能に優れ、おもに湿度70%を超える程度で吸湿し、40%を下回る程度で放湿するといわれています。
また、人が室内で快適と感じる湿度は40~60%とされています。
つまり塗り壁は、アレルギー対策として、そして快適性向上としても効果が期待できるわけです。
施工する範囲によって効果は変わりますが、なにもしなくても湿度管理をしてくれる点では、きわめて手軽な方法といえます。
まとめ
アレルギー疾患に悩む人も非常に多いようですが、花粉やダニ、カビなどが原因である場合は室内の湿度管理を見直してみると効果的です。
その方法のひとつとして、塗り壁があります。
塗り壁は、塗っておくだけで効果が期待できるため、あまり手間をかけずに湿度管理を行いたい人には非常に適した方法といえるでしょう。